第1252話 ■ジャンボマシンダー

 クリスマスと言えば、子供たちにとっては誕生日と並び、高価なおもちゃを買ってもらえるビッグイベントである。最近は子供の数が少ないだけにこのイベントに対する業界の期待は大きいだろうし、少子化は一方でプレゼント単価の上昇という影響も与えていることだろう。景気回復の追い風はいかほどに。

 私も小さい頃はいろいろと欲しいおもちゃがあったが、クリスマスプレゼントなる風習のない家庭のため、欲しいおもちゃはお年玉などで自分で買うしかなかった。確かにお年玉となるとそこそこ金が集まり、ある程度高額なものも買えたりもしたが、それは年が長じてからのことで、小学生低学年の頃は世間一般でもお年玉のレートが低く、集まる金額も高が知れていた。

 そんな中、高価でとうとう買うことができなかったおもちゃにジャンボマシンダーがあった。高さ60センチほどのプラスチックの人形である。まず最初にマジンガーZのそれが発売され、その後グレートマジンガー、ゲッターロボへとシリーズが拡張され、調べてみたら仮面ライダーやロボコンのものまで発売されていた。マジンガーZの場合、パイルダー(ロボットの頭部に格納する操縦用のヘリコプター)は取り外しでき、ロケットパンチが飛ぶ。それにジェットスクランダー(空を飛ぶときの翼)などがオプションで発売された。グレンダイザーに至っては本体を格納するUFOもあったような。

 人形の本体は確か3千数百円だったと記憶している。同じ玩具メーカーのポピーが金属製の15センチほどの人形、超合金シリーズを千円ちょっとで出していたので、その約3倍ということになる。自分も買えなかったが、周りの友達も持っていなかった。おもちゃ屋やデパートの売り場でサンプル品を触るのが精一杯である。そんなある日、医者の息子の太郎くんの誕生会が行われた。すると彼の家にはマジンガーZのジャンボマシンダーがあるではないか。しかも双子の弟の次郎くんの分も合わせて2台もあった。早速、この2台を戦わせて遊んだ。

 このおもちゃの売りはでかいことに尽きる。機械や電動の仕掛けもないただでかいだけの人形である。これが今中古玩具市場で高値を呼んでいる。元箱付きなら10万円といった感じだ。子供のおもちゃだったため、状態が良い物が少ないし、買えなかった人が多かったということはそもそもの数が少ないということである。その当時買えなかった人が市場を作っているのか?。それ故の高値なのだろう。

(秀)