第1292話 ■スーパーウォークマン

 MDコンポを買ってから10年。もはやそのコンポは手元にないが、それ以来、100枚を越えるMDが手元にある。シングルCDをレンタルで寄せ集めて「シングル・コレクション」と名付けたMDも多い。枚数はさておき、レンタルCDを利用する人は同様に相当のMDを所有しているのではないかと思う。以前にも当コラムに書いたことだが、世間ではiPodをはじめ、デジタルオーディオプレーヤーが花盛りの今日、このMDをどうしようかという問題があった。

 これまでも自分なりにMD→PCへのダビングをやってみたが、1枚のMDを処理するのに2時間近く掛かる。曲のタイトルを調べて入力するなど、シングルではかなりな労苦になる。実際に聞いてみて、誰が歌っているのかさえ分からない(特にグループは名前が思い出せない)曲さえ出てくる。

 一方、コンポではHDD内蔵の製品があって、あわせてMDドライブを持ったものではMD→HDDへのダビングが可能である。これで何とかデータの移行はできるが、そもそもそのコンポの値段が高いことと、ダビングした後に曲のタイトルを調べて入力するなど、新たな問題も出てくる。何度もこのコンポを買おうと思ってはそれを打ち消す毎日だった。

 しかし、同様のニーズを持っている人は多いはずで、探せばそれに対応した商品は存在していた。偉いぞソニー!。MDウォークマンの最高機種でMD→PCへのダビングがデジタルのまま(無劣化でしかも速いということ)で可能で、曲のタイトルもダビングした先のPCのアプリがネット経由でデータの波形から探して自動入力してくれる。ついでに音も格段に良いらしい。これは史上最高のスーパーウォークマンだ。ウォークマンと思うと4万円弱と高価であるが、これは買わねばなるまい。

 何しろ高額ながらも人気商品ということで、巷では売り切れ続出、取り寄せとの情報をインターネットで知った上で、会社の帰りに量販店に行ってみた。店員に展示場所へ案内され、「ただ今品切れで、2週間程お待ちいただくことになります」と言われた。覚悟はできていたものの、物欲が高い位置で揺れている状態では、それなりにショックはある。せめては展示機に触れ、心を落ち着かせようとしているところに別の店員が現れ、「何か御用はございますか?」と聞く。「人気商品なので取り寄せになるんですね」と応えると、「少々お待ちいください」と言って、「1個あります」と在庫を探してくれた。

 早速家で使ってみる。MD→PCへの転送時間は実演奏時間の約4分の1といった感じ。曲のタイトルも3%くらいの間違いがある(シングルに弱いようだ)が自動検索入力はすこぶる便利だ。欠点はファイルサイズがCD→PCのときに比べて約2倍と大きいことくらい。しかしこれも便利さからみれば大した問題ではない。

 1時間に処理できるMDは約3枚。昨日はちょっと夜更かしをしてしまった。ちまちまと秋の夜長にダビングしながら、この10年のヒット曲を振り返り、記憶の整理なんてのをやってみようかと思っている。

(秀)