第1384話 ■メールの作法

 私が仕事で電子メールを使用するようになってから13年余りが経つ。全社でのメールシステムが導入される以前に、部門内のサーバーを利用して、部内のみのメールとして始めた。部門と外のメールの交換などない、閉域のメール網だった。その後遅れて全社的にもメールシステムが導入され、社外とのメールのやり取りができるようになった。しかしまだ、社会一般としては名刺にメールアドレスが印刷されていることは珍しかった。

 私が勤める会社ではおじさん社員でも、コピー、FAXは自分で使えるし、パソコンについてもメールは使えるし、添付されていたファイルを見たり、印刷することぐらいは皆自分でできる。ただ、きちんと読んでいるか?、返事をくれるか?、はまた別の次元の話で、メールを打った後に決まって返事の電話をしてくるおじさんがいた。

 さて、会社での電子メールであるが、最近メールの量が増えて困っている。最近、ある人に代わって、私としては新しい仕事をすることになった。途端にこれまでとは違う人からこれまでと違う内容のメールが届くようになった。せっかく送ってもらったものの、話の内容がさっぱり分からないものもある。これまでの履歴が長々と付いたメールが引継ぎで新たに送られてきたときには、ゾっとする。

 そんなときはメール本文の冒頭に書かれている「○○さんへ」などという宛書か、メールの宛先を見る。自分のアドレスが「CC」になっていれば多少気が楽だが、「TO」になっていると大変だ。他の「TO」の人と連絡を取って、誰が対応するか決めたり、対応方法を教えてもらったりする。とにかく周りに聞きまくる。

 一方、「CC」というのも厄介だ。やたらとCCを付けてくるメールが増えたので、受信するメールの総量が増えた。メールソフトの操作方法についてはマニュアルが存在するが、メールの作法について講習を受けたことがないし、マニュアルなど(書籍として存在しているらしいが)見たことない。だから私が日常的にやり取りしているメールが作法として正しいのかどうかが分からない。大量にCCを付けることが正しいのか、どうなのか。

 当事者だけでなく、上司にまでCCをつけるのは上司に読んでもらおうというよりも、「送っておいたからね」という既成事実を目的としていることが多いようだ。上司のパソコンをちょっと覗いてみたら、未読のメール数が数百もあった。私は未読メールがあると気持ち悪いので、とりあえず全て開封してしまう。実際に本当に必要なメールは半分以下だったりする。だから私は本当に必要な人しか、宛先に指定しないようにしている。便利なものが必ずしも生産性の向上に貢献しているとは限らない。

(秀)