第1385話 ■給湯室事件

 会社でちょっとした事件が起きた。給湯室に置いてある湯沸しポットを何者かが塩素系の台所漂白剤で洗浄したらしい。完全にすすぎきれない状態で、そのポットのお湯を使った人による異臭騒ぎとなった。中には「変な感じがする」と思いながらも飲み干した人がいる。特に健康被害は今のところ出ていない。

 早速電子メールでことの顛末としばらく給湯室を閉鎖する旨の案内が出た。そしてポットを洗浄した人は名乗り出るように書いてあるが、今現在誰も名乗り出たものはいない。給湯室はまるで事件現場のように入口をガムテープで閉鎖されている。ある人は「CSI(科学捜査班 )を呼べ!」なんてふざけている。このまま特に犯人探しをすることなく、ほとぼりが冷めた頃に何もなかったかのように給湯室も閉鎖が解除されることだろう。

 さて、犯人探しの推理である。私がいるオフィスは20階で、何も犯人がこのフロアにいるとは限らない。現場には漂白剤が散在していたらしい。明らかな意志によるものかとも思われる。これはあくまでも想像で、ネタでしかないんだけど。この騒ぎの影響でこれまでインスタントコーヒーなどを自分で淹れていた人などが給湯室の閉鎖でこれができなくなり、自動販売機のコーヒーやお茶の売上が急に伸びた。人の机の上を見れば一目瞭然。自動販売機には「売切」ランプの列が赤々と光っていた。

(秀)