第1452話 ■延長保証

 家電量販店などがメーカー保証終了後も独自の保証をつける延長保証について、会社で仕事として調査したことがある。具体的な例は商品を買って付与されるポイントのうち、購入価格の5%分を受け取らずに、この分を3年分の保証に充当する、感じだ。

 私の調査結果によると、店やその会社が独自にやっているケースは少なく、実際にはこの延長保証を専門に請け負う会社が介在していて、量販店はリスクを回避する一方、保証の売上で収益を得る構造になっていた。ポイントは客を除き、いずれも損をしないようにできていること。

 ということは、その利益分の費用は客が負担していることになる。この結果が私の頭には刷り込まれていて、「どうせ壊れはしないから」と店で延長保証を勧められても、それを断るようにしていた。ところが、私は新しいもの買いをすることが多く、思いのほか壊れるのである。しかもメーカー保証が切れてから壊れるから、たちが悪い。

 実際に我が家では液晶テレビが壊れた。寒くなりかけた頃に、電源を入れて5分くらい黒の色が出なくなった。たまたま保証内のDVDレコーダーの修理に呼んだ、同じメーカーのサービスマンに相談したところ、メーカー保証は切れていたが、無償で直してくれた。偉いぞ、東芝。壊れなければもっと良いが。

 保険と保証は微妙に違い、保険は損害を金銭で補償するが、保証はものでその損害を補てんする。実際には修理や交換を行う。「保険みたいなもんですから」と勧められる場合がある。いずれも彼らは損はしないし、高額な給料を手にしている。きっと緻密なシミュレーションに基づいたビジネスプランになっていることだろう。しかし、損得は別にして、わずかの負担でいざというときの安心が得られるのならば、加入すべきだと私は判断を変えた。一度でも壊れてしまうと臨時の支出は痛いから。

 さて、世間には「ソニータイマー」なる言葉がある。まるでタイマーが仕掛けられているかのように、ソニー製品はメーカー保証が切れた途端に壊れることが多いので、こんな不名誉な言葉が生まれた。ところが、最近は品質も良くなってきて、1年ではそうそう壊れなくなった。けど、つい先日、私のソニー製ノートパソコンは購入から3年と1ヶ月で壊れた。ソニータイマーは延長保証に備えて動くようになったようだ。まあ、延長保証には入っていなかったけど。

(秀)