第1504話 ■ランナウェイ

 中高生のときに欲しいものを挙げるとすると、ラジカセというのがかなり上位にランクされていた。とりわけその当時のラジカセは高品質化が盛んに行われた時期で、スピーカーも大きくなり、それにあわせてハイパワーで音も良かった。今となってはその頃のラジカセはバブルラジカセと呼ばれていたりする。

 その中でもパイオニアのランナウェイシリーズは当時ブランド力もあって、人気が高かった。ついでに値段も高かった。当時私もこのランナウェイのラジカセが欲しかったが、あいにく買えなかった。ラジカセに限らず、この頃のパイオニアはシステムコンポでも良い商品を作って、うまく宣伝していた印象がある。

 そんな80年代の匂いのする、ランナウェイの最上位機種SK−900をネットオークションで極めて安く購入できた。カセット部分は動かないが、製造から25年ほど経っているのでこれはやむを得ないことだろう。メーカーとは別で専門の修理業者で修理することも可能なようだが、既に私はカセットテープを廃棄してしまって、持っていないので何ら問題ない。しばらくはこのまま使うとしよう。カセット部分以外は元気である。

 ライン入力を使って、そこにシリコンオーディオタイプのウォークマンをつないで音を出してみた。せっかくなので当時の曲を掛けてみる。ややインチキではあるものの、80年代の音楽が、80年代のラジカセから流れてくる。やはり良い音だ。シグナルメーターの針が動く。当たり前の動作だが、高級機らしさとしてこんなところにも惹かれていたんだ。

(秀)