第1532話 ■イラストと著作権
幼稚園バスの側面にはいろいろと子どもが好きそうなイラストが書かれているものだが、例えば、アンパンマン、あれはちゃんと著作権者の許可を取って書いてあるものかは相当疑わしい。昔はそんな著作権の意識なんかほとんどなかったと思う。
話は遡って、35年ほど前の駄菓子屋。くじもので、仕切られた箱の好きなところを選んでそこを突き破り、中の景品をもらうというものがあった。あまり豪華なものなんか入っていない。だいたい損をするのが相場である。せめてもの購買意欲をあおろうとしてか、突き破る箱の部分はミシン目が打ってあって、うまく取り外せばカードっぽくなる。かなり安っぽいが。
その部分にはイラストが書かれていた。仮面ライダーのようだが、配色が全く違うし、微妙に絵が違う。極めつけは触覚が真ん中に1本しかない。ウルトラマンらしいイラストもこれまた存在しそうな、しなさそうな、そんな微妙なところを突いてくる妙なイラストだった。
「間違っている。それとも偽ライダーか?!」。とっさに少年だった私はそう思い、「自分の方がちゃんと描ける」と思った。しかしこれが当時においてすら著作権を意識した業者の精一杯の配慮だったことにその後しばらくしてから気が付いた。
親しみを込めて書いていた、絵かき歌での似顔絵も厳密には著作権などの諸々の権利が絡んでいるのだろう。似せずに描くのが駄菓子屋のくじ同様正しいのかもしれない。
(秀)
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