第1637話 ■「おくりびと」騒ぎ

 本場アカデミー賞で「おくりびと」が外国語映画賞を受賞し、一夜明けた今朝から日本のマスコミは大騒ぎだ。はしゃぎ過ぎにも感じる。ただマスコミで騒いでいる人を見ると、「お前、本当にこの映画を見てから受賞を喜んでいるのか?」と言いたい、ただ便乗騒ぎらしい人の姿が鼻につく。

 米国アカデミー賞に先立ち行われた、日本アカデミー賞授賞式でもこの作品は圧倒的な強さを見せた。最優秀作品賞、同主演男優賞、同助演男優賞、同助演女優賞、などなど。残念ながら、主演女優の広末涼子は最優秀主演女優賞を逃したが、ここに私は日本アカデミー賞協会の良識を見た。勢いに流されず、冷静な判断を下したと思う。まあ、その程度の演技だったということで。個人的には、最優秀主演女優賞を取った、木村多江の「ぐるりのこと。」を見てみたくなった。

 一方、峰岸徹である。彼が忘れ去られている。彼も「おくりびと」には出演していたが、映画公開のしばらく後に彼の訃報が流れた。遺作ではなかったようだが、本作である意味、重要な役を演じている。それが予告やハイライトシーンでは全く触れられない。もっと注目してあげて欲しかった。

 さて、せっかくなんで、アンコール上映やDVD、有料テレビでの配信などで儲けようなんて気はこの際やめて、アカデミー賞受賞記念として、国民で広く今回の受賞の喜びを分かち合おうと、即刻この映画をテレビの地上波で放送したら良いと思う。このタイミングなら視聴率も取れるだろうし、配給会社への好感度も一気に上がること間違いなしだ。邦画をもっと応援していこうという機運も起きるだろう。私が松竹の社長だったら、迷わず実行するね。

(秀)