第1652話 ■近未来のテレビ技術予想

 今日は近未来のテレビ技術についての予想を書いてみようと思う。

 「ビデオオンデマンド(以下、VODと記す)なる言葉がある。「見たいコンテンツを見たいときに」というやつだ。この「見たいコンテンツ」というのがポイントである。仕組み的にはVODの環境は既に世の中に存在する。しかし私はそれをVODだとは認めていない。何故なら、見たいコンテンツがないからだ。見たくもないコンテンツがいくらあっても、見たいコンテンツが存在しなければ、それはVODもどきであって、VODではない。技術的な面では先行していても、コンテンツの提供といった仕組みの方ではまだ遅れがある。理想としては、レンタルショップに並んでいるコンテンツがそのリリースと同時ぐらいにVODのコンテンツとしてリリースされる状態を希望したい。

 現在、WOWOWやスカパーの番組コンテンツはスケジュールに沿って放送されているが、いずれかのうちに(それがいつなのかは分からないが)、生中継の番組を除き、ユーザが任意のタイミングでコンテンツの再生をスタートできる、配信スタイルになるのではなかろうか?。ストリーミングスタイルだ。私が思うVODの形に近い。もしそうでないとすると、コンテンツを直接ダウンロードして保存し、任意のタイミングで再生する方式になるだろう。これらには著作権の問題が関わっている。保存をさせたくないとすると、前者の方式が選ばれるだろう。

 全チャンネルレコーダーというのが登場するかもしれない。現在もアナログ放送用はあるが、これのデジタル放送版だ。放送している番組を、例えば1週間分、全チャネル録画できる。録画したコンテンツは新聞の番組表のように表示され、見たい部分を選んで再生させる。見忘れ、録り逃しがなくなる。レコーダーは大容量のHDDの他にチャンネル分のチューナーと、コンテンツを圧縮して録画するためのエンコーダーをチューナーの数分持たないといけない。それほど一般家庭でのニーズはないだろう。けどこれが、マンションなどの集合住宅の狭域ネットワークの中に共同施設としてあるとあり難いかも。

 あるいは一度放送が終わった番組を一定の時間内であればテレビ局がそれを再生できる状態にしておいて、ユーザが任意のタイミングで再生をスタートできる仕組みができるだろう。有料化によるVOD配信であれば、実現性は高い。

 これらのコンテンツをインターネット経由でパソコンで見ることができても、あまり嬉しくない。やはり高画質で大画面のテレビで見られないといけない。アナログ放送がデジタル放送に移行するからにはこれらの可能性も含めて期待をしたい。

(秀)