第1651話 ■新型プリウスへの期待

 ハイブリッド車が本当に総コストとして魅力があるかというと必ずしもそうではなかった。今までの話。例えガソリンの消費量が半分になったところで、そもそも車両本体の価格が高いから、あまり多くの距離を走らない私などでは、ざっと10年はその車に乗らないとその差額が回収できない感じだった。

 そんなタイミングでホンダ インサイトの189万円。メーカーは相当本気なのだと思った。この後から出てくる新型プリウスの値段が250万円程度と巷で予想され、先行の利と価格差で勝負しようという計画だったのだろう。市場もそれに反応し、最初の1ヶ月でメーカーの出荷計画の4倍もの受注を得たらしい。けど、この手の話は新型車の登場当時にはよくある話で、よほど計画を作った人が臆病か一種の演出でしかない。

 ただ、この市場の反応はトヨタの首脳陣にはちょっと刺激が強かったみたいだ。実際に価格変更を行ったかどうかは知る由もないが(多分行われたと思われるが)、通常はやらない、発売前の早い段階から「新型プリウスは205万円から」とぶちあげた。どこまで本当か分からないが、ホンダではこの発表により、インサイトの購入キャンセルが相次いだそうで、泡を食らっているらしい。

 実際には205万円のベース車両が売れるわけでなく、もう1つ上のグレードを選んだり、カーナビやオプションを付けたりして、売れ筋の価格帯は250万円くらいになるのではなかろうか?。けれどもそれが巷で予想されていたベース車両の価格なのだから、とにかく205万円のインパクトは相当大きかったことになる。

 今回の新型プリウスはトヨタの全販売チャネルでの併売が予告されている。当初は車両本体値引きなしの強気の販売かも知れないが、他のチャネル店と競合させるとなると、多少の値引きが期待できるかもしれないし、それが無理でも下取りの上乗せやオプションの値引き競争は期待できると思う。こんな車が売れない時期だから、各チャネルとも販売開始から精力的な販売活動を仕掛けていくのではなかろうか?。

 今後トヨタはまずコンパクトカーのハイブリッド車を出す計画らしい。しかし、そもそもが燃費の良いコンパクトカーよりもミニバンのような車のハイブリッド化の方がニーズは高いのではないかと私は思う。そして何よりも最も売れている車をハイブリッド化するのが環境的にも効果があるのではなかろうか?。となるとカローラか?。しかし、カローラをハイブリッド化すると価格的にはプリウスのゾーンに落ち着き、将来的にプリウスはカローラの座に位置する車になっているかもしれない。

 私もできれば次にはハイブリッド車に乗ろうかな、と思っている。できればその頃にはもうちょっと安いミニバンタイプのハイブリッド車が出ていて欲しい。トヨタは将来的にプリウスという名前を1つの車の名前ではなく、ハイブリッド車シリーズのブランドとして育てたいらしい。その際にはミニバンもラインナップされていると雑誌では紹介されていたが、この不景気で開発のスピードにブレーキが掛かっていることも予想される。まあ、いずれにせよ、このプリウスが自動車不況だけでなく、日本経済をも救う1つの起爆剤となって欲しいものだ。ちょっとほめ過ぎたかな?。

(秀)