第1702話 ■総選挙展望 2009

 第45回衆議院議員総選挙が昨日公示された。本来ならその公示日にあわせてコラムを書くべきだったが、情報の収集と分析に費やす時間が足らず、その機会を今日に譲ることになった。今回の選挙のポイントは以前にも述べたが、「政権選択」選挙である。民主党の勝利と自民党の敗北が確定的であり、むしろ関心はその度合いにあるだろう。

 選挙では「地滑り的」という表現をよく使う。辞書によると、「大きな変動が起こって、ひどく目立つようす」ということらしい。地滑り的大勝利、なんて例文が出ていた。けど、実際にそれほど劇的な変化が生じるのだろうか?。一部報道では民主党の単独過半数どころか、269議席の絶対安定多数をも上回ると伝えている。しかし、私の予想としては自民党は意外に踏みとどまるのではないか睨んでいる。苦戦を伝える報道がアナウンス効果となって、有権者の心理に少なからず、影響を与えそうだ。けど自公の獲得議席数が過半数を割って、下野することは間違いない。

 前回の衆議院選挙から麻生首相は実に4人目の総理である。小泉総理の時は前回の選挙結果が示すように非常に国民の支持も高かった。安倍総理も就任当時はまだ支持率は高かった。では、今の内閣や自民党への支持率が低いのは、麻生首相のせいだろうか?。いや、そうではない。現状の低支持率の理由は、昨年の後半から急激に景気が悪くなった要素もあるが、小泉政治が骨太の改革という名の下に大きな格差社会を生み出したことに対する批判と不満である。

 各党の代表者へのインタービューで今回の選挙のポイントを「郵政民営化の見直し」と答えている党があった。全くのナンセンスであるが、現在の自民党に対する不振が小泉改革への批判である比率は高い。小泉さんは良いタイミングで引退した。それどころか、党の執行部に対して歴代の総理経験者としての影響力がほとんどない。小泉チルドレンを守ってやることもできなかった。もはや過去の人だ。そもそも、小泉チルドレン達は話題性はあったけれども、何らこれといった成果を生み出し、残すことがなかったが。

 今回の選挙は前回の郵政選挙の反動だ。大量議席を持った自公政権が結果として、住みにくい社会を作ってしまった責任を問われている。本来なら、前回の選挙の時点で小泉改革の問題点に気付くべきだったと思う。少なくと私はそう訴えていたのだが。

(秀)