第1703話 ■これからのテレビについて
90年代の後半にインターネットテレビなるものが発売された。このことを記憶している人はどれくらいだろうか?。それくらい売れなかったわけだが、それもそのはず、当時の通信回線状況は電話回線のダイヤルアップがほとんどで、そのテレビでできることというのは、独自のブラウザで、Webの画面が参照できるというものだった。当時でも、そんなものにはほとんど価値がなかったというわけだ。
それから約10年の月日が流れ、テレビサイドパソコンなるものが登場した。テレビをパソコンのモニタにして、インターネットも楽しめるというものだったが、これもヒットしない。パソコンをテレビにつなぐことによって得られる付加価値の訴求力が弱いのだ。まだ、「このパソコンで、テレビが見られます」の方が、分かりやすくて受けが良い。
テレビがパソコンになるのは、このようになかなか難しい。ブロードバンドネットワークにつながるところまでは来たけれど、それから先が見えていない。わざわざハイビジョン映像が売りの液晶テレビで、パソコンで見ていたような粗い動画像を見るかと言われてもピンとこない。ビデオオンデマンドという最も有効な手段は、技術的な要素がほぼ満たされるようになったにもかかわらず、そのコンテンツ供給という、技術とは別のソフトの面で大きく立ち遅れている。文字通り、「見たい映像」が供給されなければ、一部で始まっていても意味がない。
10年程前にビル・ゲイツが「パソコンの1つのタイプはテレビと融合する」旨のことを講演で述べていた。「パソコンでテレビが見られます」程度の話ではなく、コンテンツと結び付くことを意味していたと思う。単にテレビだけの話ではなく、コンテンツとなると、今ではレコーダーとの関わりも外すことができない。
地上アナログ波から、地上デジタル波への移行に多くの人々の関心が集まる中、それに集中する余りにメーカーも新たなテレビへの取り組みを後回しにしていないか?。具体的な姿がなかなか想像できない。一通り、ハイビジョンテレビが全家庭に行き渡ってからの話なのか?。テレビ=夢の箱、といった感覚で少年期を過ごした私には、テレビに新たな魅力の付加を期待する気持ちが一層強い。
その一方で、最近テレビ(番組)が面白くない、という別の問題もある。だからこそ、次世代テレビの登場が求められるのか?。ただ、新たなテレビは番組に依存することなく、新たなコンテンツを求めて、外にその活路を見つけていくことだろう。
(秀)
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