第1714話　■アメリカンドッグ

　「あ～、アメリカンドッグが食べたい。今食べたい。すぐ食べたい」。そう家人に言い渡し、家人をコンビニまでのおつかいに送り出した。その間に原稿を書くとしよう。今日のお題は「アメリカンドッグ」。

　このアメリカンドッグという名前を正確に記憶するようになったのはいつからなのかは思い出せないが、その存在はそれ以前から知っていた。私が小学校に上がってすぐのこと、近くの駄菓子屋にホットドッグという名前でそれは登場した。何ゆえそれがホットドッグと間違えられて名づけられたのかは、その駄菓子屋のばあちゃんが知るのみで、今となっては、知る由もない。ただ、ホットドッグという名で忽然と我々の前に現れた。

　最初は駄菓子屋でその姿を見る以前に、近所に住む、達ちゃんからの情報からだった。「肉を棒に挿して揚げたやつ」という、何とも意味不明な言葉だった。ソーセージのことを肉と言っていた。彼はそういう家庭環境で育ったのだろう。しかし、それをおごってくれると言うから、細かなことはかまっていられない。一緒に駄菓子屋に向かった。彼は既に一度口にしたことがあった。

　その「ホットドッグ」は駄菓子やばあちゃんが自分で作って販売しているもので、ここのばあちゃんはいろいろと食べ物を作って販売することが得意で、たこ焼き、お好み焼き、おでん、焼きそば、なども作って売っていた。当時の値段で５０円という高額だった。約束どおり、達ちゃんにおごってもらって食べてみると、これがすんごくうまかった。

　ただ、この５０円という高額とアメリカンドッグ自体の認知度が低かったので、あまり売れ行きは良くなかったようだ。そのうち、ソーセージを小ぶりにして、３０円に価格改定まで行われたが、やがて店からこいつは消えてしまった。

　スーパーの惣菜コーナーでアメリカンドッグを見るようになったのはそれからしばらくしてからのことだったと記憶している。しかし、何故アメリカンドッグという名前なのだろうか？。調べてみれば和製英語だった。ただ、アメリカが発祥であることは間違いないようだ。

　そうこうしている間に、つかいに出た家人が帰ってきた。ちょうど原稿も書きあがった。

（秀）