第1756話 ■モバイル過渡期

 日頃、ネットブックを携行している。会社に行く日も、休みの日に寄席に落語を聞きに行く日も携行している。休日に使用している散歩用のバッグにスッポリと収まり、これと本を1冊一緒に持ち出している。平日は通勤途中(主に帰り)に開き、プライベートのメールのチェックとWebサイトを見ている。原稿も書けなくはないが、それはPDA(スマートフォン)の方が便利で主にそれで処理してしまっている。

 このネットブックを買う前にもWindowsのウルトラモバイルPCを携行していたが、あまりも小さすぎて、キーボードのキーが省略されていて、TABキーや数字キーなどを押そうにも2つのキーを一緒に押さえなければならないなど、使い勝手が良くなかった。そこで新たに見つけたネットブックは重量約1キロと以前に比べると約200グラムの増加であるが、操作性は格段に向上した。

 1キロという重さは日常携行するパソコンとしては十分に及第点である。しかし人間の欲というのは成長するもので、ある満足はさらなる満足を求めるようになる。「もうちょっと軽いものはないかな?」。これよりコンパクトになると操作性が悪くなるのは承知済みだから同程度の大きさで、もっと軽いものということになる。確かにソニーのモバイルパソコンにはそれらしい製品があるが、いかんせん高価である。それと「もっと起動の速いマシンが欲しい」。

 今使っているネットブックは形状的にはタブレットPCでもある。液晶部分をクルリと180度回転させ、表示部を上にして画面部分をキーボードの上に折りたたむことができる。今後これで電子書籍を読もうと思っている。

 欲しいスマートフォン同様、私には(画面に表示されるものではなく)キーボードが必要なので、iPadというわけにはいかない。けど今後、iPad対抗としてWindows陣営のパソコンメーカーが軽量のタブレットPCを出すのではないかと期待したい。そういう意味でiPadはでかいiPhoneという意味以外にこれまでのPCのカテゴリーの壁を壊し、再構築する起爆剤となるだろう。

 やはり携行するには少しでも軽いマシンが良い。通勤途中に読みたい本があるような場合はネットブックを家に置いて出掛ける日もたまにある。以前のウルトラモバイルのときはそんなことはなく、使う見込みがない日もとりあえず必ず携行していた。たかだか200グラムの重量の増加で、携行が毎日ではなくなった。本当に持ち歩かないと困ってしまうかとそうではない。むしろ持って歩いて、結局使用しなかった日があると、気持ちが穏やかでない。次第に携行すべきか考えてしまう。いずれ私が望むことがすべてスマートフォンで解決できるようになると、わざわざパソコンを持ち出すことはなくなることだろう。丁度今は過渡期といったところだろう。

(秀)