第1901話 ■自分でも買わない商品を売ること

 通信キャリアの看板を揚げた、専業の携帯電話ショップでのこと、スマートフォンの機種変更を行った際に、「メモリーカードはいかがですか?」と店員に購入を勧められた。店に並んでいるmicroSDカードの金額を見ると、かなり市場価格から乖離している。倍どころではなく、私が狙って買っているような、特価品からすると4倍位の差がある。「高いよ、これ」と言った後、「この値段で、自分なら買う?」と聞いたら、黙りこくって、苦笑い。返事が返って来なかった。相手をよく見て、モノを言え!

 自分が買わないようなモノを売ろうとしている店員の気持ちが分からない。ただ、何もこの店員が悪いわけでなく、そのような値付けを行ったのは本部の社員で、声を掛けるように店長などに言われている程度のことだろう。けど、この本部社員も店長もそんな値段で買わないのならば、「おかしい!」と思わないといけない。お客様をあまりにも馬鹿にしている。

 一方、社員販売などと言う形で、社員などに優遇し販売するケースがある。型落ち品だったり、消費期限が近かったり(食品でない場合も)、在庫の調整だったり。自分も会社勤めの際には、事務消耗品などをはじめ、社員販売をかなり利用していた。逆に言えば、市場で一般的な価格で買うのが勿体なく思えるようになってしまった。今は特にその思いが強い。皆さん、自分の会社の商品を買っていますか?。ちゃんと一般的な価格で。

 私が勤めていた会社の隣は三菱系の主要会社の本社だった。そして、かつては三菱自動車の本社も並んであった。車止めには結構な高級車で関連会社とかの重役が行き来していたと思われるが、三菱ブランドの車、例えばデボネアとかをそこで見た覚えがない。ダイムラーとの契約があったためか、ベンツはよく見た。こんなんで良いのかな?。三菱系の偉い人よ。

 数年前に国会を見学に行ったことがある。翌日に急遽衆議院が解散するとのことで、委員会も本会議も審議は空転となった日だった。敷地内は閑散としていたが、黒塗りの高級車が議事堂横の車寄せから人を乗せて、どこかに走っていく姿を何台も見た。ガイドの人が言った。「国会議員さんが使用する車は全て国産車です」。まあ、諸々のためのポーズだと思うが、けど、ちょっと安心した。

(秀)