第265話 ■QUIZ
ついに出るべくして出たと言うべきドラマの登場である。TBSで金曜10時から放送されている「QUIZ」はまさにそんなドラマと言える。おそらく、個々の発想というか仕掛け自体はそれほど新しいものではないが、一度にこれらが束になってしまうと、新しいドラマの形に見えてくる。基本線は小学2年生の生君という子供の誘拐事件であるが、犯人は一切姿を現さず、電子メールで連絡をして来る。しかもその中身はドラマのタイトルの通り、「QUIZ」になっている(正確にはクイズというより、なぞなぞの感じであるが、「なぞなぞ」というタイトルでは喜劇になってしまうので許すとしよう)。そして、この事件の解決に挑むのが人の心が読めるという特殊能力を持った、財前直美演じる美人女性刑事(役名:桐子カヲル)という設定で話は展開される。
もちろんのこと、現時点で犯人は分かっていない。これは推理小説のセオリーであろうが、あまりにも容疑者の対象範囲が広すぎる。生君の母親(森口瑶子)や担任教師(鈴木紗理奈)、それに刑事までも疑わしいところがある。疑いだしたらきりがないが生君と同級生の女の子までも、どこか怪しげな演技を見せる。おまけに身代金を横取りする便乗犯まで出てきた。被害者宅に潜入していた刑事(内藤剛志)が被害者の母親に刺されたり、小学校で爆発騒ぎが起きたりと次々に新たな事件が捜査をさらに混乱へと巻き込んでいく。そして便乗事件をめぐる殺人事件も起きてしまった。
このドラマもホームページを持っているが、かなり趣向が変わっている。このサイトの中では登場人物の紹介が「容疑者リスト」というタイトルで視聴者による犯人予想投票という形で行われている。また、ストーリー紹介が「誘拐事件実況生中継」というタイトルで行われている。しかも、このWebサイトは被害者の家を向かいの家から見ている少女がドラマの中で更新しているサイトを視聴者も見ている形となっている。チャットのコーナーもある。それはどこか昨今話題の犯罪を犯した少年がインターネットの掲示板にはまっていたことを思い出してしまう。彼女も部屋に閉じこもったきり、パソコンとインターネットにはまっている。メールやクイズといったモチーフがドラマとしては面白い設定であるのは間違いない。また、今回のようなWebの趣向も画期的と言える。しかし、現実犯罪との相関を思えば複雑な気持ちにならざるを得ない。続きはいずれまた。
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