第304話 ■覆面の心持ち

 タイガーマスクのアニメ放送が始まったのは’69年のことである。買ったときの記憶はないが、私が初めて買っ(て貰っ)たレコードはタイガーマスクのレコードだった。ある日(’70年以降)保育園から帰ると父親がタイガーマスクの人形(480円)を買って来てくれていた。ねだった覚えはないが、それから放送の度にその人形を片手にテレビを見るようになった。覆面を取ると伊達直人のかわいい顔が姿を現わす。この後似たようなヒーローもの(仮面ライダーなど)の人形が売り出されたが、これらも仮面の下は妙にかわいい顔だったりする。

 当時のタイガーマスク人気は格別で、この人形シリーズには悪役レスラー(こちらは安くて380円)やリングなども売り出されていた。しかし、悪役レスラー人形を好んで買う子供がそれ程いるはずもなく、決まってタイガーマスク同士で戦うはめになる。ガムの懸賞でマントとベルトが当たるのがあって、あの虎柄マントは当選して持っていた。

 テレビで見ている側は伊達直人がタイガーマスクであることは知っている。しかし、伊達はその悲しい過去の素性から自らがタイガーマスクであることを「みなしごハウス」の子供達に明かすことができない(最後は覆面が取れてあまりにも無残なバレ方をしたが)。ところで、一般に「覆面~」と呼ばれている人々はその自らの地位に満足しているのであろうか?。聖飢魔Ⅱに氏神様、新しいところではダンス☆マン。素顔を見せて「あれ、俺なんだ!」と叫びたいときがありやしないだろうか?。「それにしても、伊達直人は着痩せするタイプなんだ」。