第407話 ■新理論発見

 私はまた発見をしてしまった。これまでにも本コラムを通じて、じゃんけんの「最初はグー」の解明(第216話)や「恋愛ドラマ=三角関係バリエーション説」(第104話)、「ものを買う心理=変身願望理論」(第213話)をはじめ、様々な説を論理的に展開して来たが、それに比しても劣らないであろう、新たな理論を発見した。名付けて、いや、まだちょっと早いかな。

 では、その内容であるが、世の中いろいろとうまくいかない事の理由と言うか、そのメカニズムに気が付いたのである。気が付いて見ると意外にシンプルだった。それは、「同時多発的に不測の事態が起きる」ということである。「同時多発的」というのは、一度に事件が発生するわけでなく、一つの事柄が終結する前に次の新たな事件が起きるという事を意味している。また、いずれ起こる事は予測できていても、いつ起こるか予測ができなければ、それは「不測の事態」と五十歩百歩であろう。

 事件とは幾分大袈裟であるが、仕事と置き換えてみても良い。例えば、これからある仕事を始めようと思ったら、上司に声を掛けられた。「先日頼んだ、あれどうなった」。もしまだ終わっていなかったら、それに着手しなくてはならない。「仕事は偉い人順」というのがサラリーマンのセオリーである。「はい、それは終わっています」となっても、上司の席まで出向き、報告をしなくてはいけない。ようやく席に戻って、さっきの仕事を始めようとすると、今度は「○○さん、□□さんから電話です」と声が掛かる。そうするうちにパソコンからは電子メールの到着を知らせる音が。まさに不測の事態とはこんな状況も指している。

 もちろん、このような事態はプライベートでも起こりうる。また、面倒な事は解決まで時間を要する。しかも、その時間が長ければ長いほど、次の面倒な事が重なって起きる可能性は高まり、その数も増える。一つの事の解決を先送りするというのは、その場凌ぎで一瞬気が楽になるが、いずれボディブローで効いて来る。さて、この発見の名前だが、「不測の事態同時多発理論」と名付けるとしよう。