第408話 ■シャンプーハット

 「シャンプーハット」を御存知だろうか?。5年程前にも販売していたので、今もあるだろう。洗髪を嫌がる幼児用に、シャンプーやお湯が目に入らなくするための輪っかである。私が丁度その対象年齢であった頃は、銭湯通いであったため、そのシャンプーハットを持ってやって来る子供達をうらやましく眺めていた。親にねだると、「あれはもっと小さい子が使うもの。周りの髪も洗いにくくてダメ」と取り合ってくれない。

 その銭湯の隣は薬局で、これ見よがしに、店先にシャンプーハットが並べられていた。当時は「フジちゃんのシャンプーハット」という名でテレビCMも流れたりと、結構メジャーな商品だった様な気がする。「フジちゃん」とは今の「ピップフジモト」。当時は「藤本株式会社」という社名だった。

 それからしばらくして、シャンプーハットの姉妹品で「シャンプー仮面」というのが登場した。幅広の目隠しスタイルで目の部分は透明のゴーグルの形で、後頭部のホックで固定するものであった。素材はハットと同様の収縮できるウレタンであった。子供の目には格好良く見えるかもしれないが、今思うと相当恥ずかしいデザインだった様な気がする。おまけに髪がとても洗いにくい構造になっていた。銭湯で一度は実物を見たような気がするが、案の上、この商品はあまり売れなかったようで、間もなく市場から消え、このことを知る人もあまりいないはず。