第428話 ■受験生へのメッセージ

 大寒とともに、東京でも雪が降った。たまたま週末で通勤などには影響がなく、ほっとしているが、この日と翌日はセンター試験の当日であった。そしてこれから先、高校、中学も含め、推薦入学を除いたいわゆるガチンコ入試の本番を迎える。中には小学校や幼稚園に至っても選抜試験を受ける子供もいるだろう。ちょっと気の毒な気がする。

 最近は世間的にもかつてのような学歴偏重の考えが多少揺らいで来ている。せっかく勉強して良い会社と言われるところに就職したにしても、その会社が必ずしも良い経営状態を続けられるわけでなく、中には呆気なく倒産してしまう場合もある。倒産しなくてもリストラの恐怖に脅かされる日々を送らねばならないかもしれない。

 実は出身校の名前や学歴、そして学校で学んだことで仕事ができる程、社会は甘くない。学歴以上にその人のキャラクターや人との接し方の方がよっぽど重要であるし、社会に出てから学ぶことの方がより実践的で生きている。ここ最近は就職が困難な時期なため、確かにその難関を勝ち抜いて来た彼らは優秀である。しかし、優秀であるが故に、プライドが高く、なかなか人のいう事を聞かない。チームプレイにも馴染まない人もいる。一方、新しい人材を求める企業の側も困った事にバブル期に楽に出世をしてしまった人々が管理職として会社の中心にいて、新入社員などをうまく育てる事ができていないような気がする。

 さてさて、問題は入試だけでなく、就職しても起き続ける。しかし、「どうして学ぶのか?、どうしてその学校を受験するのか?」と今さら悩んでいる訳にはいかない。既に幕はあがった。受験生諸氏にはとりあえず目の前の難関を克服してもらいたいが、その後にはそれが全てでないことに早く気付いて欲しい。自分で自ら選び、それを克服していくことの一つの形態が受験に過ぎない。まずは彼らの健闘を祈ろう。

(秀)