第864話 ■ベビーカー

 秋葉原駅の山手線ホームでベビーカーの前輪がドアに挟まったまま、約10メートル電車が走るという事故が起きた。どうやら赤ちゃんは無事だったらしい。同様の事故は先日も東京駅の京葉線ホームで起きている。そのときは約20メートル走り、赤ちゃんが顔にケガをしたそうだ。「そもそも電車にベビーカーを開いたまま乗るのがおかしい」と家人は言う。私もそう思う。自分達のときは必ずベビーカーを畳んで、子供を抱きかかえて電車に乗った。鉄道各社は現在、ベビーカーを開いての乗車を認めているが、これは、ある女性団体の要望に応えてのことらしい。

 もう一度新聞記事を読み返してみる。「右前輪付近が挟まれた」、「扉に挟まったものが2センチ以下だと異物感知システムが反応しない場合もある」とある。これは秋葉原駅での事故の記事からだが、東京駅の場合もほぼ同じである。これに対し、事故へのJRの反応は「改めて注意喚起するが、対応を変えるつもりはない」と述べる程度で、感知システムの改良を行うなどの抜本的な対策に乗り出す感じはない。何故か?。私は以下のように推理した。

 最近の可般式のベビーカーは各足の両側に2個ずつの車輪が付いている。よって、報道によると、事故ではその右前輪の車輪の片方か、その足一本を挟んだことになる(東京駅では前者、秋葉原駅では後者と思われる)。これは明らかに「駆け込み乗車」ではないか。閉まりかかったドアに我が子を乗せたベビーカーを挟み込み、ドアを開けさせようとしたに違いない。うまくベビーカーの本体が挟まったら、再度ドアが空いて自分も乗り込める。今回のように前輪付近が挟まったのは初めてかもしれないが、いつも同じようにベビーカーを使っての駆け込み乗車をこの母親はやっていたのではなかろうか?。

 もはや電車でベビーカーを折りたたむべきかどうかのマナーを論じているレベルではない。ベビーカーを使っての駆け込み乗車をする母親が全面的に悪い。新聞も電車内でのベビーカーの是非を取り上げるのではなく、「駆け込み乗車」ときちんと書くべきだ。今回はJRのひるまない態度を支持。

(秀)