第486話 ■コンビニの事情

 私の生活の中にコンビニが入り込んで来たのは高校生の時だから、約20年前という事になる。弁当をそのまま電子レンジで温めることと各商品のバーコードをスキャナペン(当時はそうだった)でなぞると商品単価が入力されるPOSレジには驚いた。それ以来、コンビニはすっかり生活の中にとけ込んでいる。今のマンションに越して来た当初は歩いて行ける距離にコンビニがなく、調味料が切れていた時などは大変であったが、しばらくしてすぐ近くにでき、大変重宝している。

 ますます便利になっていくコンビニの変化には驚かされる。携帯を売っている店やATMマシンを置いている店も登場した。しかし、どちらかと言えばこのような店は新興のチェーンで、大手は本業の物販を大事にし、奇をてらう様なことを仕掛けて来ることは少ない。いろいろとサービスが増えると店員も大変だろう。コピーの紙詰りやATMの操作説明などのために、弁当を握ったまま長い間レジで待たされるのも困る。サービスそのものから得る利益よりも、サービスのついでに買い物をしてくれることを目論んでサービスを拡充しているのだろうが、こんな状態では、客を待たせる店から自然と客足が遠のくことになるだろう。

 一方、インターネット通販の普及によるコンビニへの新たな期待というのも登場して来ている。「留守がちなため、商品をコンビニ受け取り、代金の決済もそのときにできれば…」、というものである。確かにこれは便利である。しかし、私がコンビニ会社の経営陣であったら、こんなサービスの提供には反対する。理由は「儲からないから」。通販の商品を預かるとなると、その分のスペースが必要だし、いろいろと手間や面倒が増える。コンビニは限られたスペースを有効に利用するため、陳列商品の入れ替えを頻繁に行っている。単位面積当たりの収益に非常に敏感な業種なのである。通販商品の預かりサービスでこの収益率が下がるのは明らかである。大手のコンビニがATM設置よりも本業の物販を大事にしている事情もまさにこれだと思う。

(秀)