第528話 ■ロボットヒーロー論

 ロボットヒーローは生命体ではない。あまりにも当然のことだが、ヒーロー史を語る上でこの事実は、重要なポイントである。ヒーローの黎明期を月光仮面や忍者ものとすると、ウルトラマンと仮面ライダーが更なる興隆期と言えるだろう。ここまではいずれも主人公が特殊能力や変身によって戦うものであった。しかし、これに続く、ロボットヒーローものは人間に操縦される点においてこれまでの形態と一線を画している。

 その代表はマジンガーZだろう。どういう意味でそういう設定なのか分からないが、マジンガーZはプールの下に格納されていて、登場の度にプールの水はまたその下へと流れて行く。あの水はリサイクルされているのだろうか?。グレートマジンガーに至ってはわざわざ海の中に格納されている。さすがに、グレートマジンガーは「超合金ニューZ」だから海水でも錆びない(?)。おもちゃの「超合金」はペイントがはげたところから、腐食していったけど。

 マジンガーシリーズは子供番組にしては珍しく、ストーリー的に暗い展開であった。それはマジンガーがボコボコにやられるからである。最終的には相手に勝利するものの、毎週のように、マシンは修理を受けている。ガメラや力道山、ついでにアンパンマンも前半はやられているが、後半には起死回生の攻撃により、溜飲を下げてくれた。水戸黄門も最後はほぼ同じような形で、これは日本人に支持されるスタイルのようだが、マジンガーZには回を追うごとに最後の爽快感がなくなっていった。この修理の間に相手が攻めて来て、光子力研究所はバリアーでしのぐということがしばしばあった。修理にはパーツが必要である。ストックがあるのかどうか知らないが、そんなストックをしておくくらいなら、その分でロボットを何台も作っておけば良いのに。

 ロボットは生命体ではない。だから、マジンガーXやマジンガーYがいても良いはずだ。ウルトラマンや仮面ライダーですら何人もいて、一緒に戦うことは何度もあるのに、実現可能なはずのロボットものでこういう発想が出てこない(マジンガーZの最後にグレートマジンガーが現れ、マジンガーZを助けたことはあったが、これはいわゆる引継でしかない)。ゲッターロボではロボットのバリエーションはあるものの、戦闘状態のロボットとしては1台しか存在できない。「ロボットを操縦する人がいないから」、なんて反論をしてくる人もいるかもしれないが、所詮フィクションの世界なんだから何でもありなんだと思うけど。

(秀)