第576話 ■伏線
最近のドラマはほとんどが1クールの10回+αで終了するものが多いが、その中で伏線を張ったものが多い。ドラマの伏線とは、メインストーリーとは別のサイドストーリーが用意されており、最終的な結末に於いてこの2つに因果関係があるというものである。そのためには毎回わずかながら(わずかでない場合もある)、サイドストーリーの展開が映し出される。
伏線はドラマを最後まで見終わって、「なるほど!」と言わしめたり、それによってストーリーの濃度を上げていくには有効な手段である。しかし、あまりにもこの手法におぼれてしまうと、ストーリーの幅が狭くなってしまう可能性がある。「ストーリーの幅が狭くなる」とは主人公の周辺で全てが解決してしまい、リアリティが薄れることであり、結果として強引な展開とならざるを得ないことである。このため毎回同じ登場人物だけで展開するドラマは面白くないことが多い。中にはサイドストーリーだと思って見ていたものが、いつの間にかメインストーリーと入れ替わる様なドラマも現れた。これは1度でも見逃していると話についていけなくなる可能性が高い。
毎回登場する人物でも主人公やストーリー展開には全く関わりがない人がいても良いし、登場人物にあまり多くの意味を持たせる必要はないと思う。現実社会はそんなものである。伏線はストーリーを複雑化していく上で確かに有効であるが、最近はそれにおぼれているものが多いように感じる。サイドストーリーがあまりにもチープな結末であったり、メインストーリーに何の影響もなかったときには落胆してしまう。リアリティの隙間から垣間見える非日常を私はドラマに求めている。
(秀)
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