第606話 ■読書について、ふたたび

 前話の「読書の秋」について、常連読者から感想メールが届いた。その人は図書館派で、読みたいものはそこで借りて読むらしい。買っていたら、それこそ本棚が溢れてしまうのが、主な理由らしい。確かに説得力がある。ついでに金も掛からないとなると魅力的だ。しかし、私はこれに向いていない。借り物という中途半端な居心地の悪い状態がダメなのである。ついでに本屋での立ち読みも落ち着かなくていけない。

 たまに図書館や人から本を借りるようなこともあるが、ある短い間にそれを読み終えなければならないという束縛に耐えられない。また、日常的に一つの本を集中して読むことは少ない。シチュエーション別に同時並行でいくつかを読んでいたりする。通勤用、休日用、それにトイレ用(これはなかなか読み進まないので小説などは避けている)。結局借りた本は、最後まで読み終えることなく返す羽目になることが多い。

 借りた本も本当に読みたければ、その後に買ったりしている。買わなくてもいい本は、所詮その程度だと思って割り切る。ただ、買ってしまって期限がないために、読んでいない本が溜まってしまっているのは事実。出版業界冬の時代の今日、せめてもの下支えと思い、本を買っているのもあるが、最近はお金がなくて古本屋で買うことが多い。これでは出版業界の下支えどころか、逆行している。しょうがないので、「リサイクル」、「省資源」と言ってみることにした。

(秀)