第661話 ■不審船騒ぎにふれて

 読者諸氏のクリスマス・イブはいかがだっただろうか?。3連休とあって、家族や好きな人とのひとときを過ごした人も多かったことだろう。しかし、(一部の)医者や看護婦、警察官などにはそんなイベントも関係なかったかもしれない。ご苦労様です。そして、のんきに国民の多くがクリスマスに浮かれていたときに、東シナ海でとんでもない事件が起きていた。

 例の不審船事件である。時間が過ぎるに連れていろいろと生々しい情報が伝わってくる。ロケット弾は対戦車砲と言うではないか。船の外板程度なら破る破壊力があると聞く。ところで、我が宰相は本気で「何故、(不審船を)捕捉できなかったか?」と思っているのだろうか?。万一不審船が停船し、捕捉した時点で相手が自爆して来たらどうすることもできない。現実に例の巡視船に乗っていた人々がどこまでそのようなことを想像していたか分からないが、結果として、今回の件の選択は妥当だったと思う。今後はすんなり相手が停船しても、安易に捕捉・逮捕ができなくなったことだろう。

 取り逃がせば大衆の非難を浴び、撃沈させれば政治家から怒られる。それでいて文句を言う人間が命の保障をしてくれるわけでもない。自分達の最高責任者である総理大臣にこんなことを言われてしまっては報われない。自らの首を差し出し、職を辞する以外に責任の取りようがない人に対して、自らの命を懸けて職務にあたっている人である。総理は自らが巡視船に乗り合わせていても「捕捉せよ!」と果たして言えただろうか?。自爆覚悟でやってくる相手にあらかじめ準備していたルールやストーリーが役に立たないことは現場の人間が一番よく分かっている。彼らにもクリスマスをともに過ごしたい、家族や好きな人がいるはず。

(秀)