第666話 ■ハッピーアイスクリーム

 新年おめでとうございます。喪中の方には、寒中お見舞い。こうして当コラムも3回目の正月を迎えた。どうか本年が良い年でありますように。今年も引き続き、ご愛読ください。

 さて、新年と言うことで、ちょっとおめでたい話で始めたいと思う。文字通り「ハッピー」。「ハッピーアイスクリーム」という話題である。私の古びた記憶の中からこの言葉を思い起こさせた出来事は、「望年会(第664話参照)」の最中に起きた。

 「さっきはホント、『ハッピーアイスクリーム』って、タイミングでしたね」と、同僚が言う。もちろん、「『ハッピーアイスクリーム』って何?」とヤボなことは言わない。私もかつてはその言葉で遊んだ。しかし、それは25年ほど前のこと。その同僚とは年齢も違う(私がちょっと上)し、何よりも彼は東京育ちである。まさかこれが全国区の言葉で、しかも寿命の長いものだとは思わなかった。私の周りでは、すぐに廃れてしまったからだ。

 「ハッピーアイスクリーム」とは、複数の人が同時に同じ言葉を発した際に、続けて、「ハッピーアイスクリーム」と先に言った方が相手にアイスクリームを奢ってもらえるという言葉遊びである。しかし、実際にアイスクリームを奢ったり、奢られたりしてもらったためしはない。それが、この遊びがすぐに廃れてしまった理由だと私は信じている。インターネットで調べてみたところ、実に多くのサイトに行き当たった。全国区であるのも納得できる。あるサイトでは、「ハッピーアイスクリーム」と言うだけでなく、同時に相手にタッチしなくてはならない、と紹介されていた。

 さて、さて、お正月である。全国どこでも「あけましておめでとうございます」という挨拶が飛び交っていることだろう。どうかその際には「ハッピーアイスクリーム」と続けて欲しい。もちろん中には、「何、それ?」と言う人もいるだろう。そんな人にはこのコラムで勉強するように薦めて欲しい。しかし、そもそもこの言葉遊びがいつ頃、どういう理由で発生し、流行していったのかは、私にも未だ謎のままである。

(秀)