第670話 ■正月行事

 「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ、春の(これぞ)七草」。今日は、七草粥の日である。五・七・五にうまく折り込まれているために七草をそらんじることはできるが、実物を見たところで、名前を言い当てることなどできない。しかし、ありがたいことにスーパーでは「七草パック」なってものも売られている。本来は7日の朝に食すべきものなのだろうが、皆さんのところではどうだっただろうか?。

 正月に酒や餅で疲弊した胃腸を粥でいたわろうという趣旨の行事である。先人達の知恵である。また、この日は私の地元では注連(しめ)飾りを持ち寄って燃やし、その火で餅を焼いて食べる、「ほんげんぎょう」という行事が早朝から行われる。さながら燃え上がるその炎は冬のキャンプファイヤーのようだ。この餅を食べれば1年間無病息災、と言われている。 

 残るは「鏡開き」か。これは私が知る範囲でも、各地方によって、日にちもやり方も異なっている。東京あたりでは包丁で鏡餅を切るのを忌み嫌い、金槌で叩いて手頃な大きさにするが、最近の真空パックの餅となると、そうそう割れるものではない。私の田舎では包丁で切ることになっている。

 世の中は今日から本格稼働を始めたことだろう。会社ではいろいろと田舎での土産物が披露されているかもしれない。「お屠蘇気分もほどほどに」なんて上司からの檄も飛んでいるだろうが、実はお屠蘇ではなく、ビールや発泡酒や、日本酒にワインなんかを飲んでいるはず。それどころか、仕事が終わったら、「新年会」とまだまだ正月行事は終わっていなかったことに気が付く。

(秀)