第675話 ■マネーの虎

 土曜深夜(日付としては日曜日)のテレビ番組に「マネーの虎」という番組がある。もちろんこのタイトルは「マレーの虎」からのパクリ。深夜番組のため全国ネットでないかもしれないが、日テレでやっている。司会は何故か吉田栄作。金儲けのアイデアを持っているが金がなかったり、自分のやりたいことがあるがお金がない出場者が毎週2名出てきて、そのプランを説明し、スポンサー(番組スポンサーとは別)から出資を取り付ける番組である。

 スポンサーは各回5人。いずれもそれぞれの業界で急成長を遂げ、「風雲児」と言われるような、会社のオーナー社長である。この番組の面白いところは、このそれぞれの社長がトランクやらバッグから、ごっそりと帯封のされた札束を数千万円分テーブルに積み上げるが、それがいずれも社長自身のポケットマネーというところである。局の金で面白そうなアイデアを選ぶのではなく、自分が金を出すから、社長達も真剣である。彼らがまさに「マネーの虎」である。

 出場者はあらかじめ目標とする金額を申告し、交渉が始まる。依頼者1名対虎5名との面接スタイル。虎達の投資額合計が目標額に達しなかった場合は、すべてご破算となって、途中までの金額も手にすることはできない。先日は「立川でこれまでにないスタイルのクラブを開きたい」と650万円を求めた青年が出てきた。私には到底成功するプランには思えなかったが、彼は650万円の投資を取りつけた。続いて登場した出場者は「新しいコンセプトの和風バーの開店資金」として1,150万円を求めたがこれは失敗した。

 「甘い、甘い。お前は甘い」と怒りながら見ている。テレビでなく、彼らが直接虎の人々の所に依頼に行ったのでは、おそらく門前払いだろう。誰もが不成立になるとテレビとして面白くないのは分かるが、もしこれにヤラセがあるとしたら、大いに興ざめ。次週(1/19深夜)ではいよいよ過去最高額の1億円の投資を求める出場者が登場する。予告のダイジェストでは、かなり無礼な若者だった。何はさておき、この番組の最高のプレゼンターはポケットマネーを出す虎たちをブッキングした製作サイドだ。

(秀)