第689話 ■瀬戸ワンタン

 原曲は「瀬戸の花嫁」。デビュー当時は普通の歌手だった小柳ルミ子の当時のヒット曲だった。それが何故かポピュラーな替え歌に大変身。30歳代後半の人なら小学生時代に耳にしたはず。全編、歌詞の言葉尻にしりとりの要領で食べ物の名前がつながる。「瀬戸ワンタン、日暮れテンドン、夕波小なミソラーメン。あなたの島エビフライ、お嫁にゆくノリマキ」。こんな具合である。

 まず最初にこの替え歌に接したのは雑誌での投稿ページであった。私の記憶が確かならば、その雑誌は「冒険王」で、そこから推測するに昭和49、50年のことになる。やがてこの歌を学校で耳にするようになった。口々に口ずさみ、合唱になったりした。遠足のバスの中で必ず誰かが歌うようにもなった。

 ただ歌う人それぞれで歌詞が微妙に違っていたりする。中には勝手に自分で作ったりしているのではなかろうか?。そもそもが替え歌なのだから、何を以てそのオリジナル(原曲という意味ではない)とするかは判断が非常に難しい。

 それからいろいろと替え歌文化は私たちを楽しませてくれたが、これほど完全な形で私の記憶に残っているのはこの歌とレインボーマンの歌ぐらいだ。全編、食べ物のオンパレードという一貫したポリシーによって表現された完成度の高い替え歌は後にも前にもこの曲以外になかった。

 私と同年代の大澄賢也も当時は小学生。彼もこの替え歌、歌ったかな?。

(秀)