第690話 ■豆菓子量り売り

 子供の頃、近所には2つのお菓子屋があった。そのうちの1つは駄菓子屋で当コラムでも何度か話が出て来ている、通称「こどもみせ」である。そしてもう1軒は豆菓子を量り売りする店だった。この店では普通にジュースやアイスも売っていたが、駄菓子の類はない。いわゆる「大人菓子」と言われる、メジャーブランド(グリコや明治)のチョコレートなどを並べていた。

 やはりこの店のメインは豆菓子だ。一辺が30センチ四方程度のガラスケースが20個ぐらい並んでいる。酒のつまみになりそうな、ピーナッツをベースに衣を付けた味付き豆などの類がずらりと。ガラスケースの中にはそれぞれの100グラムあたりの値段を書いた厚紙が乾燥剤とともに豆に埋もれそうになっている。まあ実際には、グラム数を言うよりも「○○円分」と言うことの方が多かった。

 するとおばちゃん(おばあちゃんだったり、おじさんだったりする場合もあるが)はガラスケースの蓋を上に引っ張り開け、ケースの中にあるシャベルで豆をすくい、紙袋に入れる。ある程度のところでそれを秤に載せてみる。この店の秤は天井から吊されていた。微調整の後、紙袋の端を両方つかんで、くるくるっと回してひねって、袋を手渡してくれた。

 するとおばちゃん(おばあちゃんだったり、おじさんだったりする場合もあるが)はガラスケースの蓋を上に引っ張り開け、ケースの中にあるシャベルで豆をすくい、紙袋に入れる。ある程度のところでそれを秤に載せてみる。この店の秤は天井から吊されていた。微調整の後、紙袋の端を両方つかんで、くるくるっと回してひねって、袋を手渡してくれた。

(秀)