第703話 ■ムネオハウス

 全国のムネオ少年は今ごろ泣いていることだろう。特に小学生となるとその名前だけで露骨ないじめを受けているかも。通学路の途中にある、ムネオ少年の家は「ムネオハウス」(もちろん、そんな看板は本家同様あがってはいないはず)、ムネオ少年の大事な自転車は「ムネオ号」と呼ばれているのだろう。もちろん、ムネオ少年はまったく悪くない。それなのにこんな目に遭ってしまう。「ムネオなんて名前を付けた親が悪いんだ!」と言うのはお門違いだし、「ムネオハウス」や「ムネオ号」なる言葉を世に知らしめた共産党の代議士が悪いわけでもない。宗男爺が悪いだけ。とは言うものの、「ムネオハウス」や「ムネオ号」なる言葉が世に出なかったならば、彼は「鈴木代議士」と呼ばれていただろう。あまりにも数が多すぎるので、世の鈴木君がこれでいじめられるようなことはなかったと思う。

 問題が次々と湧き出てきて、そもそもの発端が霞んで来ているようだが、今回彼をめぐる社会的関心のスタートは「NGO参加拒否問題」であった。絡んだ相手が悪かったとしか言い様がない。田中真紀子では、相手は彼女自身だけでなく、世論の多くを相手にしてしまった。まあ、絡んだつもりはなかったのだろうが、結果としてそうなってしまった。結局誰が悪かったのか分からずのままであるが、鈴木代議士は自滅し始めている。もし、かばっていたとしたら、野上前外務事務次官は何のために誰を守るために首を切られたのか、あまりにもむなしい。

 もはや、NGOの会議への参加拒否圧力の有無よりも、ODA(のみならず外務省までも)の私物化、入札関与疑惑の方が大きな問題になっている。自民党も彼を見放し、離党を勧めたり、「証人喚問」やむなしの声もあがってきた。せっかちな駅売りのタブロイド紙では「宗男議員辞職へ」なんて題字を躍らせている。もちろん、「へ」の活字は小さく、良く見ないと「(やっぱり、)辞職したんだ」と誤解してしまいそうだ。いっそのこと、彼は議員を辞職して国後島に渡って、「ムネオハウス」で余生を送るのが良いと思う。もちろん、国籍も離脱し、ロシア人になる。地元の英雄として永田町にいるよりもきっと優雅な毎日が送れることだろう。それともロシアの人々から急に手のひらを返したように扱われるのか?。まあいずれにせよ、そのときは「ムネオハウス」という看板を掲げても、日本の世論は許してくれると思うよ。

(秀)