第723話 ■辻元疑惑

 まさか「ムネオ疑惑」の次が「辻元疑惑」だったとは誰が予想できただろうか?。彼女は一気に渦中の人になってしまった。政策秘書の年間給与は約1,000万円とのこと。その大部分を流用、あるいはピンハネ、もっと口悪くいえばネコババした事件である。下衆ながら、こんなドタバタ政治劇が続く国会も面白い。しかし、肝心の予算審議は参議院で行われているのだろうか?。緊急経済対策の方はどうなっていることやら。面白いだけでなく、腹も立ってくる。

 週刊誌で今回の疑惑が公になるや「頭に来た。『バカヤロー!』って書いといて」と、名誉棄損罪による損害賠償提訴も辞さない強気の構えをしていたがために始末に悪い。「ワークシェアリング」なんて、小難しい言葉を使っているが、それは一定の仕事を各人の時短でより多くの人で分け合うことで、一定の金額を多くで分け合おうというものではない。それでは「マネーシェアリング」だ。結局のところは彼女の最初の弁明のほとんどが嘘で、報道や党の発表から判断するに彼女の行為は政治資金規正法違反はもちろんのこと、「名義貸し」による詐欺の疑いも濃厚である。

 最初は私も彼女の弁明を信じた。いや私だけでなく、そう思った人は多かっただろう。何しろ、タイミングがタイミングだから。「何で今ごろ?」。こんな疑問が尽きなかった。出る杭は打たれるの例えなのか?。それ見たことかと、証人喚問をちらつかせ鬼の首を取ったかのように喜ぶ与党の輩たち。しかし、発端が週刊誌(「週刊新潮」)報道という点に他人の手柄で喜んでいるのも情けない。週刊新潮が実に1年半以上もこのネタを追い続けていたのとは好対照だ。

 この期に及んで、疑惑の当事者はテレビ(「News23」3月25日放送分)で釈明なんぞしている。「みんなやっている」。「このままでは辞職しない」。メディアを使って持論による論理のすり替えを行っているさまは、ますます惨めかもしれない。そして見ていてますます腹が立った。

 今回の騒ぎで最も迷惑を被ったのは社民党の執行部だろう。土井党首は辞職勧告を無視されるし、福島幹事長は彼女の潔白を信じて、自らの党を「内部調査も自発的にできる党」と、街頭で宣伝していたにもかかわらず、とんだ赤っ恥である。一方、得した人は誰か?。それは山崎自民党幹事長。同じ週刊新潮に愛人との密会が報じられて、党の会議の場で謝罪していたが、それっきりニュースになることはなかった。知らない人の方が多いことだろう。鈴木議員の証人喚問前夜に愛人と会っていた。しかも相手は25才。「バカヤロー!」。いったい私は何に怒っているのやら。

(秀)