第995話 ■マクドナルドの新戦略?

 ここにきて、日本マクドナルド社の戦略がどうも分かりにくい。デフレ傾向を先読みし、値下げに転じ、シェアを拡大したのは良かったが、ハンバーガーを59円にまで値下げする必要がそもそもあったのだろうか?。既に他の競合相手はこの価格競争について来れなくなってしまっている。競合力としては80円でも、100円でも十分だったはずだ。確かに価格を安くした方が販売個数は増えるだろう。しかし、全体で考えた場合の収益は59円よりも高めに設定した方が良かったのではなかろうか。

 ただ、さすがのマクドナルドでさえも、いつもまでも安売り戦略では持ちこたえられなくなってしまった。そしてチーズバーガーが120円になる。この値付け自体は至って普通であるし、まだ安目かもしれない。しかし、ハンバーガーとの価格差から見れば、「チーズ1枚が61円かよ?!」ってことになる。そしてハンバーガーは確かに安いが他のバーガーやそのセットとなるとそれほど安いわけでもないことに気が付く。

 そしてここにきて、「プレミアムマック」なるハンバーガーが登場した。見た目は贅沢なチーズバーガーだ。ミートパティが2倍になっているらしい。値段は270円。ビックマック(250円)よりも高いことになる。ミートパティ自体も美味くなっているのだろう。本来なら、他のハンバーガーで使用しているミートパティもこれに改め、「今までよりもおいしくなりました」とやるべきだあろう。しかしそれにはコストアップによる値上げが避けられないことになる。

 例え美味くなっても、値上げしては客数が減ると思って別ラインの、しかも贅沢なハンバーガーと位置付けたのだろう。一旦肉の品質を上げてしまうと客が減ったからといって値下げのために肉質を落とすのは難しい。贅沢バーガーが売れなかったら、そのバーガーだけ販売を停止すれば良い。企業としては当たり前の選択だが、何とも腹の据わらない、この中途半端加減が気に入らない。新経営陣の迷いがあるのか。一連のこの新製品シリーズは数ヶ月の後に消えてしまうと私は予想した。

(秀)