第755話 ■ごくせん

 学園ドラマのセオリーというものがある。決まって生徒の多くは学力が低く、不良。学校長は非常に良い人だが、教頭がくせもので、毎回毎回「退学だ!」と騒ぐ。そして、これに次ぐ教師が教頭にべったりのご機嫌取りときている。そして他の教師達の多くは熱気に欠けている。ここに一癖も二癖もある教師が赴任してくれば学園ドラマの舞台なんか簡単にできてしまう。

 あとは教師の味付けである。まあ、これまでの学園ドラマは若手の単なる熱血漢(「さよなら小津先生」はそういう意味で異色)というものが多く、特殊なバックボーンに依存したものではなかったが、この「ごくせん」は極道先生という設定に大きく依存し、いや、その名の通りそれが全てのドラマだ。仲間由紀恵演じる山口久美子(通称:ヤンクミ)は父母亡き後母方の祖父に引き取られて育てられているが、そこが大江戸一家という極道で、彼女は4代目の跡目を継ぐのが嫌で教師になった。

 見掛けは普通の新任女性教師である。ただ、不良がいくら脅そうとビビリはしない。「あの(長髪)先生より人情家。あの(グレート)先生より無鉄砲」というふれこみである。最初から2回のストーリーは自らの暴力で問題を解決していったため、これがいつものパターンかと思ったが、3回目からは別の形でのエンディングとなっている。メインストーリーはこの教師としてのハチャメチャぶり。伏線は生活安全課所属の警察官への片思いといったところか。

(秀)