第763話 ■ピタゴラスイッチ

 最近、職場といわず、家庭といわず、私の周りで最も注目するテレビ番組はこれである。「ピタゴラスイッチ」。ご存知ない方のほうがきっと多いに違いない。最初は会社で「ピタゴラスイッチって知ってますか?」と聞かれたことに始まる。そう聞いて来た彼は最近休暇を取った時に昼間テレビを見ていて、見つけたらしい。早速その話を家人にすると、家人の方が詳しかった。

 これはNHK教育の幼児向け番組である。午前中は週1回の15分放送とそれの再放送、それに5分ほどのショートバージョンが夕方に放送されているようだ。ビデオに録って見てみたが、とにかくおもしろい。この面白さを子供だけのものにしてしまうには非常にもったいない。そう思い、コラムで取り上げてみた。

 オープニングは子供ペンギンのピタ君とゴラ君が主人公の人形劇。いつもこの二人(二匹?)の「どうしてタイヤキは全部同じ形なの?」といった感じの疑問に百科事典の百科おじさんが答えてくれる。「それは私の486ページに載っているよ」とおじさんが百科事典である自分の体を開いて見せてくれるが、決まって二人は「子供だから読めませーん」と言う。そこで、テレビの形をした犬のジョンが現れ、これまた体を使い、ビデオで説明してくれる。このジョンはとてもとぼけていて、最初にテレビのリモコンを忘れてくる。

 子供番組に重要な体操もある。「アルゴリズム体操」。やるのはコメディアン「いつもここから」(絵を見せ、「悲しいときー」というネタを持っている)の二人。真面目な顔でいつもの通り、スーツ姿である。わずか1分程度の体操だが、その歌のメロディがコミカルで妙に頭に残ってしまう。視聴者からの要望からか、つい最近では体操の歌の歌詞が字幕で出るようになった。

 「おとうさんスイッチ」のコーナーも面白い。素人の父子の二人が登場する。子供が手に持っている空き箱でこさえた「おとうさんスイッチ」のボタンを押す。「おとうさんスイッチ、”あ”」。するとお父さんは「あ」に関する動作をする。「あくびをする」、「あいさつをする」など。5個のボタンを押し終わると、子供が「良くできました」と誉めてくれる。このコーナーの後には「おとうさんスイッチのつくりかた」というコーナーが続く、空き箱に5つの言葉のスイッチを貼り、箱の横に曲がるストローをテープで貼る。無線のつもりらしい。できあがった箱には「おとうさんスイッチ」とマジックで書かれている。我が家にもこのおとうさんスイッチが現れたらどうしよう?、と毎晩悩んで帰宅している今日この頃である。

(秀)