第764話 ■アイスラッガー

 ウルトラセブンはウルトラマンに比べると、ちょっとマニア受けする要素があるような。私もマンよりはセブンの方が好きだ。蛇足だが、ウルトラ兄弟で最も好きなのはゾフィ。兄弟と言いながら、実は彼らは兄弟ではない。ウルトラの父と母の本当の子供はタロウだけ。まあ、義兄弟と言ったところか。たぶん、兄弟としてシリーズ化する意識が最初は無かったのだろう。だからセブンはマンと大きく趣を変えたデザインで登場したと思う。

 セブンの胸にはカラータイマーがない。マンがゼットンにカラータイマーをやられた忌々しい記憶を持つ世代にはそれが印象的だったに違いない。それと、ウルトラアイ(変身のときに使うメガネ)による変身。変身時の画像は徐々にモロボシダンからセブンへと変わっていく姿が映像化されていた。それと、アイスラッガー。寝るときは邪魔になるので外しているのだろうか?。どこかチョンマゲっぽいし、投げた直後の顔は少々間抜けで当時の幼児達での笑いの対象であったが、何かの度にはアイスラッガーを投げるまねというのを僕らはよくやった。あのアイスラッガーは投げた後、きちんと元通りに戻って来る。ブーメランの原理かと思ったら、超能力でラジコンのごとくコントロールしているらしい。

 当時、幼児向けの学習雑誌の付録にウルトラセブンの変身セットが付いていた。面とウルトラアイ、それにアイスラッガー。紙の面は目の部分に穴を開け、耳に輪ゴムで引っ掛ける。顔の凹凸など全く無視していて、ちょっと息苦しいし、喋りにくい。そしてアイスラッガーはちょうどそれがアジの開きのような展開図になっていて(正面部分には、まち幅がある)、切り取って裏面に糊付けし、貼り合わせたものを、面のアイスラッガー部分に引っ掛ける形になっている。その格好で、いくら格好良くそのアイスラッガーを投げてみても、戻っては来ない。慌てて拾いに行く。

 その翌日、保育園でのお絵かきの時間にこの付録のアイスラッガーを思い出しながら、その展開図のままお絵かき帳に書いた。我ながら会心の出来。しかし、おばちゃん先生に「これは何?」と聞かれ、「アイスラッガー」と言って通じるわけもなく、とっさに「パン」と答えた。すると、おばちゃん先生は僕のお絵かき帳にその日の日付と「パン」と赤ペンで書き込んだ。

(秀)