第770話 ■日本初戦

 今日は昼間からそわそわしている。会社でも、「○○さんが今日のチケット持っているんだって」という会話が聞こえてきた。席に座っていても、心ここにあらずか。きっと彼は今日、仕事にならなかったはず。午後半休を取って浦和まで出掛けて行ったことだろう。それでも大半の社員(私も含む)は平静を装って仕事をしている。

 国によってはその国の代表が戦う日には(実質的に)休日になったり、ワールドカップの度に会社を辞めたり、離婚してまで応援に駆けつけるサポーター達がいるような国に比べると、日本人はやはり勤勉な国民だ。停電により、サッカー中継が中断して暴動が起きた国もあると聞く。それにお抱えの呪術師を持っている国もある。

 6時からのキックオフとなると、さすがにテレビを見ていられる時間ではない。ラジオの中継を聞きながら何とか急いで家に帰り着いたときは丁度ハーフタイム途中。後半は点も動き、実に見ごたえのあるゲームだった。ベルギーを相手に2−2のドロー、勝ち点1は見事な結果だと思う。何しろワールドカップ初の勝ち点獲得なのだから。しかしながらゲームが終了した途端にがっかりした人も多かったはず。うちの家人もその一人。

 それは後半、稲本のゴールで逆転したため、あわよくば「勝てるかも」、という期待を持ったからに違いない。これがベルギーに先制され、やっと追いついたとなると、「引き分けでも良かった」と思うはずである。サポーターあるいは視聴者は実にわがままだ。しかし、そんな気分を味あわせてくれただけでもうれしいよ。稲本、偉い。良くやった!。パチパチパチ。ありがとう。あの2ゴール目のオブストラクションは残念だったね。

(秀)