第78話 ■キラキラ

 花火の季節となり、週末となると浴衣姿を目にするようになった。ただ、ちょっと待て。ガングロな子は浴衣を着てはいけない。おまけにその白いキラキラしたパールのような口紅は浴衣には不似合いである。脱色した髪を束ねても、そんな後れ毛にゾクゾクはしない。ピアスをした耳元では携帯電話の改造したアンテナがピカピカと点滅している。彼女たちに限らないが、あの点滅するアンテナを見る度に「私、電磁波タレ流してま~す」と言っているようだし、相当に有害な電磁波が脳を直撃しているようで怖くなる。

 ところで、最近若い子の間で流行っている、目元に塗る、あのキラキラとした化粧はなんと呼ぶのだろうか?。上瞼だけでなく、目の下までキラキラさせている。資生堂あたりがあのようなものを作るとは思えない。マツキヨあたりで売っているのだろうか?。初めて見たのはテレビでMAXがやっていた。それからしばらくすると、女子高生が目元をキラキラさせているのを見た。あれが度を過ぎると、コント赤信号の渡辺リーダーのネタになってしまう(「アニキー」、「待たせたな!」。古くて、スマン)と内心おかしくなった。さすがにあの化粧を会社にしてくる人がいないことは確かである。

 それから、しばらくして、今度はあのキラキラを顔ではなく体に塗った女性を電車の中で見た。年は20歳をちょっと過ぎた感じだった。首から鎖骨にかけてキラキラさせているのである。また、よからぬ妄想が頭をよぎった。あんなキラキラを体に付けて、いざコトに至ったら、相手の男性は鼻の頭を始め、顔中がキラキラしてしまうだろう(実際にはその前にシャワーで落とすのだろうが)。その彼女の隣のオヤジの顔を見て、一瞬「ギョ!」としたが、オヤジの顔が光っているのは汗でテカっているだけだと気がついてホッとした。