第791話 ■ハードディスクレコーダー

<前話からの続き>

 私が快適なビデオ生活のために導入した新兵器とは「ハードディスクレコーダー」である。ビデオテープではなく、ハードディスクに画像や音声を記録する。私が買い求めたものはハードディスクの他に、従来どおりビデオテープも録再できるものであるが、消費税込みで6万円ちょっとと、同程度の仕様の機種としてはおそらく一番安い機種だろう。D端子はおろか、S端子もない。あるのはピンプラグの口のみ。番組予約はリモコンに液晶画面がないため、いちいちテレビを点けなくてはならない。また、付属のリモコンでテレビのコントロールも出来ない。だから安い。でもとりあえずはこれで良い。

 ハードディスクには最長40時間分の録画ができる。テープがいらない。テープがいらない、ということはテープを探さなくて良い、ということである。録画したものをリスト表示させると、その日時とチャンネルが表形式で表示される。このことはドラマを順番通りに見られることを保証しているようなもんだ。テープのインデックスシールを書くこともないし、この分はテープの置き場所にも困らない。まず、導入の効果はここにある。おまけに、ハードディスクに録画した映像はとてもきれいで、放送中の画面と見間違うほど。ビデオテープに録画したものとは雲泥の差である。ついでに巻き戻しの時間も不要。

 この他にも、ハードディスク+ビデオの効果で、ハードディスク側で録画中や予約待機中でもビデオテープは普通に見ることができる。しかも、ハードディスクは録画中でなければ、予約待機中でも録画したものを再生することができる。それにハードディスクだと「追っかけ再生」できる。ハードディスクで録画をしながら、その番組を頭から見ることができる。番組の途中に帰ってきたときなどに、最初っから見ることが出来るわけだ。但しこれはその番組を録画中に限ってのことで、追っかけで見ている途中にその番組の録画が終わり、予約していた次の番組の録画が始まってしまうと、この録画が終わらない限り、前の番組を見ることができない(予約録画中はいろいろと制約がある)。

 ハードディスクではなくDVD−RまたはDVD−RWに書き込むものや、ハードディスク+DVD−R(W)ドライブの機種も既に販売されているが、それらは非常に高価であるし、DVD−R(W)の規格が業界で統一されておらず、数年後に見ることができないDVD−R(W)を大量に抱え込む心配もある。おまけにこれらはメディアがまだまだ高い。ましてやビデオがDVD−R(W)に置き換わっただけでは、それから目的のものを探さねばならないとしたら、当初の私の目的は何ら解決していない。

 しかし、いざ使い出すと、ちょっと困ったこともある。ハードディスクに録ったものはそのデッキでしか見ることが出来ない。家の中とは言え、デッキを持って部屋をうろうろするものではない。よって、そのデッキが据付られている部屋で見ることになる。「たまにはリビングで見たいなー」、なんてことを考えると不便である。それを解決するには、ホームサーバーを導入し、各デッキをネットワークで結ぶ。個々のデッキではディスクに書き込まず、このホームサーバーのディスクに書き込む。再生するときにはホームサーバーにアクセスし、そこのデータを再生する。私が考えつくくらいなのだから、きっとどこかのメーカーでは既に開発を始めていることだろう。こんなシステムが日の目を見るその日まで、このデッキが無事で活躍してくれることを祈る。

(秀)