第793話 ■テレキャスター

 最近の私のマイブームは「テレキャスター」である。エレキギターのことだ。今手許に2台のテレキャスターと1台の同ボディ&パーツの一部がある。まあ、いずれも安いものばかり。完品として買ったものはなく、パーツごとに買い集めたり、ジャンクや一部難ありのものをレストアした結果だ。テレキャスターというのはフェンダーという米国のギターメーカーが50年ちょっと前から発売し、ほぼそのスタイルを変えることなく今日に至っている。電気系統の構造も比較的シンプルで、自分でレストアするにはなかなか面白い素材だ。

 これまでにつぎ込んだ費用を考えると、中古であればちゃんとしたものを一本買えたかもしれない。しかし、自分で手を入れたものには愛着がある。ギターが持つ音の良し悪しよりも、私の場合はいじり倒すことに興味がある。ある人が言っていた。「趣味と呼ぶには、まずそれに百万円注ぎ込んでから」。このルールによると、私はこれまでに趣味を持ったことがないことになる。私なんぞ、かわいいもんだ。しかし、パーツとなるとどうしてこんなに高いのだろうか?。パーツを集めただけでも、店頭に並んでいるギターの倍ぐらいの値段になってしまう。不思議だ。

 不思議な話をもう一つ。エレキギターは大きく分けて、フェンダー系とギブソン系というメーカーによって2つのタイプに大別される。まあ、両横綱というわけだ。面白いことに、他のメーカーも独自のオリジナルモデルを出しながらも、横綱メーカーのレプリカモデルを作っている。パーツは独自の設計のものもあるだろうが、デザインは全く同じもの。これを車に置き換えると、トヨタが独自エンジンでありながら、外観はメルセデスベンツやBMWと全く同じ車を作っているようなものだ。日産もホンダも、という話である。

 テレキャスターのレストアにあわせて、20年来所有のストラトキャスターのネックも交換した。ゆくゆくは電気系統だけでなく、フレットの打ち直しなんかにも挑戦したいなあ。心新たに教則本も買って、再度ブラッシュアップと思ったが、それにあわせてギターのメンテナンスの本も買った。レストアのための技術ノウハウが載っている。というわけで、ピックを握っている時間よりもドライバーや半田ゴテを握っている時間の方が長い今日この頃。よってギターは相変わらず下手なまま。けど楽しい。

(秀)