第808話 ■メッセンジャー
東京都港区三田の地下鉄泉岳寺駅のそばに通称「幽霊トンネル」または「おばけトンネル」と呼ばれる線路の高架下がある。JR田町電車区の『高輪架道橋』というのが正式名称らしいが、JR田町駅と品川駅の間で、線路下をくぐって、国道15号線(第一京浜)下り方向から港南方面への抜け道となっている。ただし、高架下の高さがとても低く、最も低い所で入り口(下りっぱな)の1.5メートル。中も1.7メートルほどで、首を曲げて歩かなくてはならないし、車もセダンがようやく通る程度である。タクシーも車種を選ばないと行灯部分がぶつかってしまうため、通ってくれない。車で通っていながらも天井が気になってしまう。
実際にここで幽霊やおばけが出たという話は聞いていないが、テレビで何度となく東京の心霊スポットとして紹介されていた。霊能者の人々にはかなりビンビンに(死語か?)霊気を感じるミステリースポットらしい。クラクションを鳴らすと現れるらしいのだが。
映画「メッセンジャー」でこのミステリートンネルが重要なポイントとして登場する。自転車でのメール便屋のストーリーで、飯島直子、草なぎ剛、主演である。私が勤めている会社の前の道を彼らが自転車で何度か通り過ぎているシーンが出てくる。実は会話と逆方向に走っていたり、続けて走っているはずのシーンが、同じ所を折り返して走っていたりする。
クライマックスはバイク便との対決。一刻も早く依頼されたものを届けた方の勝ち。目的地は芝浦にある商社。彼らはここを目指し新宿から自転車を駆り、バイクが走る。線路の向こう側に出るためにこのミステリートンネルを通過しようとするが、芝浦に出るにはこのトンネルを使うよりも札の辻の交差点から札の辻橋を渡って線路を越えるのが現実的である。
しかし、ストーリー的にはこのトンネルが重要なポイントである。別におばけが出てくるわけではないが。詳しくはネタばれになるので控えるが、それなら商社の所在地は芝浦でなく、港南あるいは海岸通り沿いという設定の方がリアルだったような気がする。ロケ地がわかる故の楽しみ方。
(秀)
-
前の記事
第807話 ■鈴木京香 2002.07.25
-
次の記事
第809話 ■元彌飛ぶ 2002.07.29