第820話 ■「笑っていいとも!」に引導を

 唐突だが、「笑っていいとも!」はそろそろ終わっていいのではなかろうか?。確かに始まった当初は面白かった。「テレフォンショッキング」(今となってはこのネーミングすら恥ずかしいねー)にしても、芸能人の誰と誰が(意外に)仲良しだというのが分かった(実はそう思わせられてるだけだったけど)し、本番中に次のゲスト候補者に電話による出演交渉をして(これもヤラセだったり)、「来てくれるかな?」の問いにその候補者がうまく答えられないなどの生放送としてのリアリティが感じられた。誰だったか、本番放送までに到着せず、コーナーの順番を入れ替えて放送していた回もあったりした。

 ところがある日このコーナーのローテーションも本人同士の仲の良さなんかを無視してゲスト達のプロモーションの場として利用され、あらかじめ次のゲストもセッティングされていることと分かった頃から急にこのコーナーがつまらなくなった。名札つきの大きな祝いの花が届き、ゲストもポスターや土産を持ってやってくる。会話のフリも自然とそのポスターやプロモーションの方に流れている。かつて北方謙三が出演した際に、出身県の知事から花が届いていた。知事からの花など前代未聞。しかもその頃は電報が届くことはままあったが、花が届くことはまだ珍しい頃。同郷人として見てる方が恥ずかしかった。

 正直言ってもはや面白くない。出演者が相手にしているのは会場に来ている観客のみ、そのリアクションだけを楽しみ、それを電波に乗せて流しているだけ。視聴者はそれを一方的に見せられている感じしかしない。放送などせず、アルタを劇場として勝手にそこだけで盛り上がれば良い、とさえ思えてくる。素人いじりの構図も手垢にまみれてしまっている。もはや、やめ時を逸してしまった感が否めない。これは紅白歌合戦も一緒。出演者もそろそろ気づけ。タモリある間、続けざるを得ないところまで来てしまったこの番組に誰か引導を渡してくれ。

(秀)