第848話 ■骨フェチ

 先週の予告どおり、「世界最大の恐竜博2002」に出掛けてきた。最終日直前とあってこの日も大幅な混雑が予想されるため、8時には着いて並ぶ覚悟で出掛けた。開場までの1時間半を座り込むためにレジャーシートまで持って乗り込んだが、その日は開場を予定よりも1時間早め、8時半の開場に変更されていた。既に会場には数千人規模での行列ができていたが、何とか開場直後に入場できるような位置に並ぶことができた。この時点で長男は興奮のあまりか鼻血ブーになってしまった。

 会場には思ったよりも小さい子が多く、子供のほとんどは小学生未満だった。別に奇声を発して騒いだり、泣き声をあげるような子はいなかったが、その代わりにヒステリックな金切り声をあげる母親達には辟易した。「もう何度言ったら分かるの?。良い子にしないんだったら帰るんだからね」、「もーう、約束したでしょう。良い子にするって」、ってな具合。自分の子供と何年付き合ってるんだ?。本当に良い子でいられるかはあんたが一番良く知っているはずだろう。

 ある展示ケースの前で全然動かないおばあちゃんがいた。孫と思しき5歳くらいの子供に熱心に指差しながら何かを説明している。それなのに、その子供はあくびしながら鼻をほじっていた。説明パネルの字は読めないし、累々と並んでいるただ標本骨格を眺めているだけでは退屈でもあろう。所詮小さな子供にはそんなもんである。幼稚園の子供にはやはり難しい展示内容だ。

 会場で入場者の多くは骨格標本を熱心に撮影していた。勢いにつられて最初は私もデジカメのシャッターを押していたが、途中でその手を止めてしまった。熱心に骨格標本の写真を撮りつづける人々の姿が異常に見えてきたからだ。そんなに骨の写真が楽しいのかと。しかもそのほとんどはレプリカでしかない。さらに、子供を骨の前に立たせて写真を撮っている人までいた。ディズニーランドでミッキーマウスと一緒に写真を撮っているときと同様に、ピースサインまで出している。そんなにまでして骨と一緒に写真だ撮りたいか?!。それほど骨と一緒に写真が撮りたいのならば先祖の墓参りに行って、お骨と一緒に写真でも撮りなさい。お彼岸だし。

(秀)