第1850話 ■ネガティブに耐えられない

 舛添(前)都知事の辞任は悪しき前例を作ってしまった、と都税を収めていない立場ながらも、一言言っておきたかった。マスコミにやられた、というところだろう。最初は公用車で毎週の様に湯河原へ別荘通いをしていたことと豪華な海外出張が発端だったと思う。公用車であれ何であれ、週末の度に都内を離れてしまっていて、危機管理は大丈夫かというところが問題だと思ったが、公用車の使用について「全く問題ない!」と反論していたあたりからおかしくなってきた。ここでも危機管理ができていなかったわけだ。ある意味、大地震等の本当の危機が訪れる前に辞任いただいて、みんなハッピーだったかもしれない。

 さて、辞任発表が終わると、不正会計の追求はどこへ行ったのか、これもマスコミの悪い癖である。報道量が減ったことで、世間の不満も一段落したようだ。あんな報道さえなかったら、世間はそれほど怒っていなかったかもしれない。仕組まれた政治ショーだった。あるワイドショーでは、大阪のスタジオから都知事を怒っていた。もう意味が分からない。

 そして、話題は一転して後継都知事へと移った。真っ先に名前が出てきたのが、蓮舫参議院議員だった。彼女はちょうど今度の参議院議員選挙で改選を迎える。「勝てる候補」という呼び声に、いささか疑問はあるものの、それは選挙を盛り上げるためのマスコミの仕掛けかもしれない。けど彼女は参議院議員選挙の公示日前日に都知事選挙には立候補しないことを発表した。国政でまだやりたいことがある、と言うが、私にはどうも建前にしか思えない。

 私が思うに、彼女は都知事選挙に出ても勝てないと思う。ネガティブキャンペーンが世間で盛んに行われるはずだからだ。選挙妨害であろうと、その勢いは止まらないはず。例えば、国籍の問題(実際には日本国籍を持っているが、両親が日本人というわけではない)とか、キャンペーンガールの頃の際どい写真が流出し、叩けばスキャンダルネタも出てくるかもしれない。もし、都知事に当選できたとしても、就任中は執拗なネガティブな情報合戦が続くに違いない。そんな状況は到底耐えられない。そんなリスクを侵すくらいなら、確実な参議院議員を続ける方が良い、と思ったのではなかろうか?。

 「2位じゃダメなんでしょうか?」。本人は今の党副代表という、それこそ2位の序列に満足しているようだ。得意気に仕分けしていた彼女の様子が、今では笑いのネタに使われている。余談だが、国産のスーパーコンピューター「京」は、2位どころか、中国製にも負けて、現在7位らしい。もし、都知事選に立候補して、当選できずに次点などになってしまったとしたら、「2位じゃダメなんだよ」と、それこそ笑いものにされたことだろう。

(秀)