第850話 ■校外学習

 本日、我が長男が「校外学習」に出掛けた。耳慣れた言葉に置き換えると「遠足」である。歩いていくわけでないけど、私達はそう呼んでいた。バス旅行というのも単なる慰安で、学習的な要素が抜け落ちてしまう。かと言って、宿泊を伴うわけでないので、修学旅行というのもおこがましい。そのせいだかどうだかは知らないが最近は校外学習と呼んでいるようだ。この語感は、学校から出掛けて市役所や消防署を見学する程度のイメージしか私にはない。社会科見学くらいの雰囲気。

 校外学習は名前だけでない、行き先も随分中途半端である。長男の行き先は「お台場」。フジテレビやガスの科学館を見学するコース。距離にして20キロもない。大人にとっては日常的な移動範囲である。私の勤務先の窓からフジテレビの社屋が見える。だから今日は昼休みに行ってみようかとも思った。学校には日頃からいろいろと貸しがある。先日も運動会の準備と片づけで貢献している。まさか押しかけ行っても、追い返されることはなかろう。しかし、月末で仕事も忙しいので思いとどまった。

 今朝長男は起きると、コンビニにお菓子を買いに出掛けた。前の日の買い忘れてしまったらしい。何とも淡白な。私達の場合は前の日の買出しから既に楽しみモードに入っていたのに。

 私が家に帰り着くと待ちわびていたように、みやげ物を見せる。どれも買ったものではなく、フジテレビでもらったノベルティである。芯だけ替えるタイプの色鉛筆やポケットティッシュのケース(プラスチック製)などなど。それにはキャラクターの犬の絵がプリントされている。スタジオには入れなかったものの、スタジオの中の様子が見られるモニターにはケイン・コスギが映っていたらしい。

 「家に着くまでが遠足ですよ」。あーあ、こんな先生の言葉を思い出した。フジテレビ行きたかったなあ。

(秀)