第874話 ■ハリスの旋風

 「はりすのかぜ」と読む。ハリスというのはかつてのガムメーカーの名前である。かつては「西のハリス」、「東のロッテ」と言われるほどの双璧のひとつであったが、随分昔にカネボウ食品に合併吸収されてしまった(一時期の社名はカネボウハリス)。そのままスポンサー(正しくは既に「カネボウハリス」)の名前をタイトルの一部にしているが、ストーリーの中では彼が通う学校の名前「ハリス学園」として登場する。かつては番組を単独提供し、スポンサー名を冠にした番組も多かったし、「ナショナルキッド」のように露骨にスポンサー名をタイトルに入れたものもあった。

 「ハリスの旋風」とは、ちばてつやの学園ものアニメーションである。あしたのジョーを描くちょっと前の頃だと思う。こう書いておきながら、私はその頃のことをよく知らない。テレビアニメが始まった年に私は生まれているから。私が知っているのは、それから5年ほど経って、リバイバル放送された方である。そのときのタイトルは「国松さまのお通りだい」に変わっていた。スポンサーがハリスではなったからだろう。国松というのは主人公の石田国松のことだ。略すと石松となる。

 基本的にこの「ハリスの旋風」と「国松さまのお通りだい」とは同じものだ。後者の学園の設定がそのままハリス学園であったかどうかは確認していないが。ついでに主題歌も良く似ている。「ハリスの旋風」の方は「ドンガ、ドンガラガッタ、ドンガ、ドンガラガッタ、国松さまのお通りだい」。一方、「国松さまのお通りだい」の方は「ドンガドンガドンガラガッタ、ドンガドンガドンガラガッタ、国松さまのお通りだい」。文字としてみれば確かに良く似ているが、メロディもリズムも微妙に違う。そしてこれより後の部分になると、メロディも歌詞も全く別物になってしまう。後者のタイトルはこの歌詞から来たのだろう。

 多少、年代がずれても共通の話題として話ができるものの、いざこの主題歌の話になると、「こっちが正しい」と意見の食い違いが生じることもあるらしい。とりあえず私は再放送か、なつかしいアニメを紹介する番組のおかげで両方が別のものであって、その中身も知っている。しかし、こうして歌詞を書いていて、頭が混乱して来てしまった。

(秀)