第889話 ■ジュース

 本当は果汁100%のものだけを「ジュース」と本来は呼ぶべきなのだが、実際にはそれよりも果汁の量が少なくてもそう呼ぶし、無果汁でもそうだ。あまり果汁の濃度や有無に関心がないのかもしれない。少なくとも私はそうだ。ジュースはジュースと。そして炭酸飲料までも含めて、ジュースと呼んでいる現状がある。だからここでは最も広範囲なそれを対象としたい。しかも懐かしい話で。

 炭酸飲料に関して言えば、大手ではコカコーラ系のものとして、コーラにスプライト、それとファンタ。ファンタはオレンジとグレープの他に、アップル、ゴールデングレープというのがあった。これは地方のボトラーズによって多少異なっていたかもしれない。一方、ペプシ系はコーラにミリンダ。ミリンダもファンタ同様、オレンジとグレープというのがあったが、これはペプシコーラを置いている店でもミリンダを置いている店は極めて少なかったし、この自販機もあまりなかった。

 この他では、リボンシトロンにリボンオレンジなんてのもあった。お米屋さんではプラッシー。米屋の友達の所に遊びに行くとたまに出してもらえたが、非常に薄味でそう美味いもんではなかった。このような全国チャネルの商品とは別にご当地のみのジュースというものもあった。だいたいはサイダーを中心とした零細な工場で生産されている。私の地元では、サイダーにラムネ、それにクリームソーダ系の「スマック」という炭酸飲料を生産しているメーカーがあった。

 私は特にこの「スマック」が好きで毎日のように駄菓子屋でそれを口にした。味も好みだったが、私が毎日のようにそのジュースを買い求めたのは、その王冠(キャップ)に当たりくじが付いていて、10円とか50円がキャッシュバックされるシステムになっていたからだ。当時その「スマック」は200mlのビン入りで50円。運良く50円なんか当たるものなら、お店のおばちゃんに「ただ飲み」なんて言われた。アイスや他の駄菓子なら、「もう1本」となるところだが、そうそう炭酸飲料を続けて飲むことはできないため、現金を返してくれるのが嬉しかった。もちろんその金は別の菓子にその場で姿を変えてしまうけどね。

(秀)