第940話 ■アトム間近

 21世紀始まって最初の近未来らしいビックイベントは「アトムの誕生」だった。21世紀という言葉の響きに憧れに感じていた頃から私にとってはそうだった。そしていよいよその誕生のときを今年迎える。2003年4月7日、彼は誕生することになっている(いた)。手塚治虫氏がこの漫画を書いていたときには、「その頃には?」という期待があったのだろうか?。しかし、現実にはアトムの誕生にはもうしばらくの時間が必要なようだ。それでもどこかで、あんな風に空は飛べくても、十万馬力はなくても、あのいでたちで二足歩行でき、簡単な会話ができる程度のロボットを誰かがこっそりと作っていて、4月7日に華々しく発表するんではないかという期待を捨てきれないでいる。

 このアトムの誕生にあわせて、アニメも復活するらしい。アトム世代には喜ばしい話であろう。アトム世代というのは40歳代後半から50歳くらいか?。よって私はアトム世代ではない。アニメの再放送もやっていたかと思うが、あいにくそれを見ていた記憶はない。かろうじて、「ジェッターマルス」というアトムの焼き直しのアニメが放送されていた頃に少年時代を送った。これは西暦2015年という設定だった。

 さて、アトムの再アニメ化についてであるが、世間的には話題性もあり、最初はそこそこの注目を浴びるだろう。ところが、その復活を一番喜んでいるであろう、アトム世代のおじさん達が毎週毎週テレビの前に座って、アトムを見るとは思えない。ビデオに録っても同じだ。アトム世代の子供達となると、ちょうど20歳前後がほとんどではなかろうか?。よって、子供と一緒になってアトムを見ることもなかろう。孫と一緒に見る世代でもなかろう。アトム世代とはちょうど、アニメを見る子供の層が抜けた家族構成の世代ということになる。視聴率のことを思うとちょっと心配だ。

 新しいアトムは今頃の子供達に受け入れられるだろうか?。アニメーションの技術はこの間、目まぐるしい進歩を遂げた。きっと、これまでにない美しい映像を届けてくれることだろう。しかしそのために懐かしさの匂いが消えていたら、ちょっと寂しいかな?!。

(秀)