第949話 ■VTR番組に引導を

 懐かしいテレビ番組の名場面集といった感じの番組がしばしば(特に、番組改変期に)テレビで放送されている。特にアニメ系の番組が多い。そこそこ視聴率が取れるからだろう。中には視聴者からリクエストを募ってランキングの発表を行うものもあるし、出演者は揃って自分の当時の思い出を語ったり、名場面と言われるところで感動を示したりする。

 しかしこの手の番組はマンネリ化しすぎている。アニメを例を取ろう。決まってランキングの上位にランキングされたり、放送されるアニメが決まってしまっている。「アルプスの少女ハイジ」。これはクララが立って歩くシーン。「フランダースの犬」。これは教会でパトラッシュとネロが死んでいき、天使が迎えに来るシーン。必ず番組の出演者が涙ぐむ。この他では「ハクション大魔王」の最終回。それに、「タッチ」。オマケに出演者もほぼ同じ顔ぶれ。代表格は西村知美。

 かつてのアニメを一部分とは言え、テレビで流すにはいろいろと権利が絡んでいることだろう。権利元から貸し出されるVTRがそこを指定してくるのかどうかは分からないが、視聴率が望めそうなものに集中し、そこから先に行かない。実写ものとなると、その権利関係はもっと複雑になるのが予想される。よってなかなかテレビで放送されないし、制作時には想定されていなかったのでビデオにもなりにくい。再放送もほぼ同じ。

 そろそろこの手の番組に視聴者として「ノー」を突きつけるときだ。お手軽に懐かしさに乗じて視聴率を取ろうとなんて考えがテレビ界の独創性に水を差す結果となっている。何度も何度も同じVTRでお茶を濁されている現状に怒るべきだ。ついでに「秘蔵VTR」なんてのも嘘だ。秘蔵だったらテレビで流せるわけなかろう。そのくせ、別の局で既に放送されていたりする。「もうこんな番組は見ないぞ!」と思いながらも、録り溜めたビデオテープを整理していたら、アニメ名場面集なんて番組が出てきて、ちょっとかつての自分に腹が立った。

(秀)